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2017年8月13日 (日)

二十四節気「立秋」・季節の扉

 8月7日は、二十四節気の「立秋」でした。暦が、季節の扉を開けてくれました。しかし、秋とは名ばかりで、毎日暑い日が続いています。
 季節の歩みは、実にゆっくりと進むものなのです。
 雲は、過ぎ去る夏の想い出を語り、風は、静かに秋をはこんでくる…。出会いと別れをくり返し、散る花は涙をながす。季節は人の歩みのようにゆっくりと進むものなのです。すべてが終わる日まで…。

 ~♪「季節の扉」
暦が秋の扉を開いた日 
百日紅の花が咲き
樹上で油蝉が夏の歌を合唱している
蓮は夏の陽ざしの中で眩しい
季節はゆっくりと歩むものなのだ

季節を語るのは雲だ
まだ入道雲が夏を語っている
湧き上がる雲は形を変え
少年の日の想い出を捜している

季節を運ぶのは風だ
ゆっくりと歩めば気づくだろう
青田の上を吹き渡る風の涼しさに
風に揺れる山法師の赤い実に
散った花びらが涙に濡れていることに 

季節を造るのは出会いと別れだ
出会いには 心ときめかせ
別れには 涙する
季節の歩みはいつも人と同じだ

すべての扉が閉じられる日が来たら
涙をぬぐい遙か遠くを見つめるのだ
地平の向こうに一つの扉が見えるだろう
その扉に向かってゆっくりと歩むのだ
季節のようにゆっくりと  ♪~

 この詩に合わせて、木津川土手方面を散歩したい方は、
二十四節気「立秋」2014へどうぞ → こちら

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   ボブという猫の物語を知っていますか? 詩人の長田弘さんが、猫のボブを詩にしています。
 ~♪ 「猫のボブ」   (奇跡―ミラクル―)
……
猫のボブがいった。平和って何?
……
それからは、いつも考えるようになった。
ほんとうに意味あるものは、
ありふれた、何でもないものだと。
魂のかたちをした雲。
樹々の、枝々の、先端のかがやき。
すべて小さなものは偉大だと。 ♪~

 長田さんは言っています。何げないありきたりの風景や、何げないささやかな日常生活のなかにこそ、ほんとうに意味のあるものがあると……。平和も幸福も…。
  また、「人の権利」という詩の中では、~♪木立の上に、/空があればいい。おおきな川の上に、/風の影があればいい。/……/幸福とは、単純な真実だ。/必要最小限プラス1。/人の権利はそれに尽きるかもしれない。/誰のだろうと、人生は片道。/行き行きて、帰り着くまで。♪~
 人の権利とは…。木立の上の空。川の上を渡る風。…必要最小限プラス1。長田さんは、いつも何げない風景や日常生活の中で、人生の意味を考察した詩人です。

 いつもの何げない木津川土手周辺の風景の中を、詩人の長田弘さんと一緒に散歩したい方は、…二十四節気「立秋」2016・後半へどうぞ → こちら

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   高田敏子さんという詩人には、橋をテーマにした詩がいくつかあります。
 ~♪「橋のうえ」
……
たくさん仕事を抱えた人が通る
なんにも仕事のない人が通る

恋ある人が歩いてゆく
恋なき人が歩いてゆく

秋の風が渡ってゆく
風よりもさびしいものがわたってゆく
さびしい目に見えないものがわたってゆく
見えないものが通るとき
橋はいちばん美しい ♪~

 さまざまな人が通る橋。恋する人も、恋を失った人も…。見えない何かも渡っていく…。橋を一番美しくする、見えないものとは何でしょうか? 希望? 憬れ? 安らぎ?
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   田の上を渡る風。雲。スイレン。ハス。ヒルガオの花。夾竹桃。百日紅。
 土手の大榎。茶畑のスブリンクラー。
  見えないものを感じながら、木津川土手周辺や流れ橋を散歩したい方は、…
二十四節気「立秋」2012へどうぞ → こちら

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2017年8月10日 (木)

二十四節気「立秋」2017

 8月7日は、二十四節気の「立秋」でした。いよいよ暦の上では秋ですね。今年の「立秋」当日は、ノロノロとした夏の台風が、騒がしく日本列島を通過していきました。

 ~♪ 秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる ♪~
  古今和歌集で藤原敏行が詠っているように、秋は、静かにそっと近づいて来ているのでしょう。今の時期、どれくらい秋が来ているのでしょうね。
 木津川土手周辺へ植物図鑑を持ち、秋を探しに散歩しましょう。きっと、城陽特産のイチジクの実も成長し始めている頃だと思います。
 ★植物図鑑を持って木津川土手方面を散歩をしたい方は、
 二十四節気「立秋」2011へどうぞ → こちら

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  土手の上に上がると、空が大きく広がり、白い雲が流れていきます。土手に座って、雲を眺めていると分かります。なつかしい人は、みんな雲に乗ってやって来るのです。亡くなった人も、遠くにいる人も、幼なじみも、なつかしい想い出を連れて、……。
 ★空を見ながら木津川土手周辺を散歩したい方は、
 二十四節気「立秋」2016へどうぞ → こちら

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  8月6日は広島に、8月9日は長崎に原爆が投下された日ですね。かって8月6日や9日は、全国の小中学校で夏休みの登校日になっていました。しかし今は、取りやめている学校がほとんどです。8月6、9日が何の日であるか答えられない人が、7割に迫っているというNHKの報道がありました。
 7月7日には、国連会議で122カ国の賛成で、「核兵器禁止条約」が採択されました。拍手と歓声の中で…。しかし、日本は不参加です。事前交渉にも参加していないといいます。何ということでしょうか…!!
 詩人の石垣りんさんは、しだいに近づいてくる戦争の足音をすでにずっと以前に聞いていました。
~♪ 「雪崩のとき」
……
すべてがそうなってきたのだから
仕方がない”というひとつの言葉が
遠い嶺のあたりでころげ出すと
……
あの言葉の
だんだん勢いづき
次第に拡がってくるのが
それが近づいてくるのが
私にはきこえる ……♪

 また、石垣りんさんは、~♪人はみんなで、空をかついで生きている。世代を超えて。輝きも、暗闇も。♪~と詠いました。みんなのつながりで、青い平和な空をかついでいけたらいいですね。
  ★石垣りんさんと一緒に木津川土手で空を眺めたい方は、
  二十四節気「立秋」2015へどうぞ → こちら

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 ★ハスの花やザリガニ、アメンボ、糸トンボ、アゲハ、ワスレグサ。さまざまな生き物を見ながら、夏休みの土手周辺をさらに散歩したい方は、
  二十四節気「立秋」2013へどうぞ → こちら

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2017年8月 3日 (木)

二十四節気「大暑」・夏の歌

 大暑の頃。一年中で一番暑い季節に入りました。
 考えてみると夏はなぜ暑いのでしょうか。理科的に言えば、地軸の傾きにより四季が生まれ、夏になるのですが……。 心までもが暑いのはなぜでしょうか。

 ~♪「夏に」
暑いから夏になったのではない
蓮の花が咲き
白い夏雲が湧き上がり
青田の上を風が吹き渡ってゆく
風景が夏を語ったから夏が来たのだ

暦が知らせたから夏になったのではない
水の上のアメンボウ
ワルナスビの針
花に潜むハラビロカマキリ
すべての命が夏を知らせているのだ

夏が来たから涙が流れるのではない
焼け跡に夾竹桃が咲いた夏
二度と帰らない少年の日の夏
わすれ草を胸にした夏
夏の想い出が涙を連れて来るのだ

夏が来たから暑いのではない
遠く見つめる先に
平和はあるのか ホオジロよ
人はどこから来て
どこに行くのか 無言の空蝉よ

思いを込めるから暑いのだ 夏よ   ♪~

 この詩にあわせて、木津川土手周辺を散歩したい方は、…
二十四節気「大暑」2014へ → こちら

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   詩人の高田敏子さんは、橋をテーマにした詩をいくつかつくっておられます。
 ~♪「橋」
少女よ
橋のむこうに
何があるのでしょうね

私も いくつかの橋を
渡ってきました
いつも 心をときめかし
急いで かけて渡りました
……
そして あなたも
急いで渡るのでしょうか

むこう岸から聞こえる
あの呼び声にひかれて ♪~

 心をときめかせ、いくつもの橋を渡ってきた私。今、橋を渡ろうとしている少女。
橋のむこうにある何かを目ざして…。
 人はみんな橋をわたるのです。「あの呼び声にひかれて…」。あなたもまた…。
  夏の夕暮れ。赤い夕雲を見ながら、木津川流れ橋を渡ってみたい方は、…
二十四節気「大暑」2012へ → こちら

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   仏教経典『妙法蓮華経』に、「不染世間法 如蓮華在水」(世間の法に染まらざるは、蓮華の水に在るが如し)とあるそうです。ハスは泥の中にあっても汚れることなく美しい花を咲かせるということです。ありがたい仏の花というわけです。
 枕草子、「草は」の段には、次のように書かれています。
  ~♪…蓮葉(はすば)、よろづの草よりもすぐれてめでたし。妙法蓮華のたとひにも、花は仏にたてまつり、実は数珠(じゅず)につらぬき、念仏して…♪~
 北原白秋の名曲、「からたちの花」は、♪…からたちの花のそばで泣いたよう…♪と歌います。これを「ハスの花のそばでないたよ~」に変えるとどうなるでしょうか? もう絶対、死んだ誰かを思う歌になってしまいますね。
 日本人にとってハスの花は、仏の花という印象がすり込まれてしまっています。ハスの花を見ると、線香の匂いが漂ってくる人は、もう、ちょっと重症ですね。
 花を愛でるときは、先入観にとらわれず素直に見たいものです。
  明るく咲く昼の蓮に出会いたい方と、流れ橋の夕景を眺めたい方は、…
二十四節気「大暑」2013へ → こちら

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   ハスの花は、外国ではどんな扱いを受けているのでしょうね。
 シューマンの歌曲集「ミルテの花」第7曲は、ハイネの詩に作曲した「Die Lotosblume(はすの花)」です。この曲を聴きたい方は、→  こちら   (歌はElly Ameling)

~♪ 「はすの花」  (H・ハイネ 訳/西野茂雄)
はすの花は 燃えさかる太陽を恐れて
うなじを垂れて夜を待つ
夢見心地に

月こそ はすの恋人
その光に はすは目覚め
いそいそとヴェールを脱いで
つつましい顔をあらわす

花開き 燃え立ち 光を放ち
はすは言葉もなく空を見上げる
はすは匂い はすは泣き
はすはおののく
愛と愛の切なさゆえに ♪~
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2017年7月30日 (日)

二十四節気「大暑」・蓮の花

 木津川土手周辺の蓮田では、夏の花である蓮の花がすこしずつ咲き始めています。今日は、今の時期のハスを捜しながらパソコン上を散歩します。

 蓮の花が開くのは明け方です。ハスの花が歌うのは「朝のうた」です。
 ~♪「朝のうた」
 朝露は夜の闇から生まれ
 明けてゆく光の中で
 白く静まりかえっている
   
 静寂を破り陽が昇る
 川霧は金色の炎を上げ
 すべての朝露は歓喜の光を放ち
 野に咲く花は
 光の言葉で希望を歌う
   
 この時 隠されていた秘密が
 光の言葉で明かされたのだ
 一日はどのように始まり
 何でできているのかが
   
 夜の闇に耐え
 朝露をまとった虫たちは
 すべてを知っている
 いのちの長さとは
 朝露が生まれやがて消えていく
 その一瞬の時間のことなのだと
   
 無意味な日々の積み重ねを
 人生と呼ぶなら
 何十年生きようとも
 人の一生はつかの間だ
 人は忘れているのだ
 一日が何故そこにあるのか
 その意味が何であるのかを
   
 やがて朝の秘密は
 昼の光の中に隠され
 今日もまた一日が始まるのだ ♪~

 朝の秘密とは何でしょうか? 一日一日は何のためにあるのでしょうか?
 その秘密を解くために蓮田を散歩したい方は、…
二十四節気「大暑」2016・朝の蓮田へ → こちら

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   夏の朝を飾る朝露。露にまみれて、糸トンボがひそかに活動を始めています。
 朝日が昇り、朝の光が満ち溢れてきました。昼の活動開始です。
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 蜜を求めて、ミツバチたちの朝の訪問も始まりました。ミツバチは蜜をもらい、花は花粉を運んでもらう、遙か遠い昔に結ばれた命の約束です。
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   蓮は夏の光を浴びて、雲にも挨拶をしているようです。大空に憬れ飛び立とうとしているのでしょうか。蛙は蓮の葉の上で、明日について考えているのでしょうか。
  蓮田や田んぼで朝の光の中を遊びたい方は、…
 二十四節気「大暑」2015・追加へ → こちら

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2017年7月27日 (木)

二十四節気「大暑」2017

 7月23日は、二十四節気の大暑でした。一年中で一番暑い時期に突入です。
 今年は、梅雨末期の豪雨で各地に被害がでました。雨は局所的なもので、全体的には空梅雨だったようです。関東では、取水制限も始まったとか…。

 太陽の輝く夏の日。麦わら帽で散歩に行きたいですね。土手の上に湧き上がる雲や土手の大榎にも会いたいです。では、いつものようにパソコン上で、詩人と一緒に散歩に出かけましょう。
 「人はかって樹だった」という詩集を出した詩人がいます。

~♪ 「むかし 私たちは」
木は人のようにそこに立っていた。
言葉もなくまっすぐ立っていた。
立ちつくす人のように、
……
物語の家族のように、
母のように一本の木は、
父のようにもう一本の木は、
子どものように小さな木は、
どこかに未来を探しているかのように、
……
みじろぎもせず立っていた。
私たちはすっかり忘れているのだ。
むかし、私たちは木だったのだ ♪~
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   ~♪ 「空と土のあいだで」
……
…。どこまでも根は
土を掴もうとする。どこまでも
枝枝は、空を掴もうとする。
おそろしくなるくらい
大きな樹だ。…
……
三百年、わたしはここに立っている。
そうやって、わたしは時間を旅してきた。
……
やがて来る死が、根にからみついた。
たが、木の枝々は、新しい芽をはぐくんだ。
自由とは、どこかへ立ち去ることではない。
考えぶかくここに生きることが、自由だ。
樹のように、空と土のあいだで。 ♪~

~♪「立ちつくす」 /祈ること。人にしか/できないこと。祈ることは、/問うこと。みずから深く問うこと/問うことは、ことばを/握りしめること…/……/…太陽の、赤い光が、滲んでゆく。/一日が、はじまる。――/ここに立ちつくす私たちを、世界が、愛してくれますように。♪~
 「人はかって樹だった」の詩人、長田弘さんと一緒に、木津川土手の散歩に出かけたい方は、二十四節気「大暑」2016へ → こちら 

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   高田敏子さんという女性詩人がいました。「台所詩人」、「お母さん詩人」とも呼ばれています。彼女は、「夏」という季節に特別な思いを込めていたように思います。夏に咲く花、「夾竹桃」の詩をみてみましょう。
~♪ 「夾竹桃」
夾竹桃が咲きました
花を見上げて 私は
――よいお天気ね――とか
――きれいに咲いたのね――とか
声をかけてしまいます

私がもし 誰からも
声をかけられない日がつづいたら
……
それは 私がいないのと同じ
生きていないのと同じでしょう

庭の花にも
声をかけるとき
花があって 私があって
あることのたしかさが思われます ♪~

 夏に咲く花夾竹桃。原爆により、一瞬にして声を掛け合うことさえ奪われた人たち。焼けた地に花をつけた夾竹桃の生命力。花があって…私があって…、生きることの「たしかさ」がある…。激しかった夏。戦争の終わった夏。やさしさが溢れた詩ですね。
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   女性詩人の石垣りんさんや茨木のり子さんと一緒に、木津川土手を散歩したい方は、
二十四節気「大暑」2015へ → こちら

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2017年7月15日 (土)

二十四節気「小暑」・蓮の葉

 木津川土手周辺の蓮田では、夏の花である蓮が成長を始めています。今日は、パソコン上で、葉を出し始めたハスを捜して散歩します。

 ハスの花と言えば、盛夏の花ですね。夏の朝に露をまとって咲く姿は、実に美しいですが、今の時期は、まだ最盛期には少し早すぎます。しかし、今の時期でしか見られないハスの姿もあります。若々しく伸びゆくハスです。
 水の張られた蓮田。長い地中での眠りから覚めて、夏雲の下でゆっくりと成長を始めます。若い蓮の息が、水面に小さな輪を作っています。
 水草が発生した蓮田は、緑の絨毯状態です。
 ~♪ 一葉浮て 母に告ぬる 蓮かな ♪~ (山口素堂)
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   雨の時は、水玉が宝石となって葉を飾ります。玉まつり?
 流れる雨水は、水草の流紋を描きます。
  ~♪  蓮池や 折らで其まま 玉まつり ♪~   (松尾芭蕉)
  ~♪ 蓮の葉に 此の世の露は 曲がりけり ♪~ (小林一茶)
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   夕日が差してくると最高です。水草が黄金色に輝きます。
 影は長く伸びて、水草の上に金と黒のコントラストを作ります。
   ~♪ 一つづつ 夕影抱く 蓮かな ♪~    (高浜虚子)
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   開いた花一つ一つに表情があるように、つぼみにも表情があります。
  ~♪ 面かげも 籠りて蓮の つぼみかな ♪~  (りん女)
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   間もなく「大暑」です。大輪のハスの花が待たれます。
 最後の写真は、琵琶湖烏丸半島のハスです。この見渡す限りのハス群落は、昨年より全滅したとのことです。水中の土壌の悪化らしいです。残念ですね。では、また。
  ~♪ 蓮枯れて 夕栄ばえうつる 湖水かな ♪~  (正岡子規)   
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2017年7月11日 (火)

二十四節気「小暑」2017・雨の歌

 今は梅雨の季節ですね。シトシト降る雨もなかなか良いものです。梅雨の季節には、雨を楽しみましょう。…などと言うと非難を浴びそうです。集中豪雨により九州で大変な被害が出ています。梅雨末期の集中豪雨は大変です。

 ちょっと遠慮しながら、雨を楽しみますね。
 では、啄木歌集から、雨の歌を拾ってみます。

~♪雨降れば わが家の人誰も誰も 沈める顔す 雨霽(は)れよかし♪~
 啄木さん一家は、雨が嫌いだったようですね。

~♪さらさらと雨落ち来たり 庭の面の濡れゆくを見て 涙わすれぬ♪~
  静かに降る雨は涙。多くの人に共通する感覚ですね。啄木さんは、悲しい想い出にひたっているようです。

~♪夏の雨 人ぞなつかしそぼぬれて 窓の小鳥も 日もすがらなく♪~
 人ぞなつかし…。人とは誰? 別れた人? なき続け、求め続ける人?

~♪雨つよく降る夜の汽車の たえまなく雫流るる 窓硝子かな♪~
 闇の中を疾走する列車。絶え間なく流れる雫。漂泊。悲しみ。忘れがたき人。

~♪重げにも 露はね返しゆらぎたる 小雨の中の 草の色かな♪~
  重い露をはね返しゆらぐ葉。小さく揺らぐ心。雨に濡れ、くっきりと草の緑。この歌は、私のお気に入りです。

 雨が降って喜ぶのは、森のきのこたちです。じめじめした今の時期を喜んでいることと思います。
 萩原朔太郎の詩に、キノコを詠った「あいんざあむ」という詩があります。あいんざあむとは、独語でeinsam=「孤独」の意味です。
~♪「あいんざあむ」 (遺稿詩集)
じめじめした土壤の中から、
ぽつくり土をもちあげて、
白い菌のるいが、
出る、
出る、
出る、
この出る、菌のあたまが、
まつくらの林の中で、
ほんのり光る。

すこしはなれたところから、
しつとり濡れた顏が、
ぼんやりとみつめて居た。   ♪~

  真っ暗ななかにほんのり光るキノコ。ぼんやり見つめる濡れた顔。繊細で、ちょっと病的な感じのする、萩原朔太郎らしい詩ですね。
 では、雨の中を鴻ノ巣山へ散歩に出かけましょう。雨に濡れたみどり。地面から顔を出したキノコ。…… 雨の鴻ノ巣山を楽しみたい人は、……    
   二十四節気「小暑」2015・追加へ → こちら

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   鴻ノ巣山の椎の森に降る雨。巨木の幹を伝い地面へと落ちていきます。
 水滴をまとった羊歯や茸たち。 さらに鴻ノ巣山の雨を楽しみたい方は、……
   二十四節気「小暑」2014へ → こちら

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   宇治田原の林道で、雨の中の小紫陽花をご覧になりたい方、太古の雰囲気を漂わせる杉林の羊歯群をご覧になりたい方は、……
    二十四節気「小暑」2010へ → こちら

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2017年7月 7日 (金)

二十四節気「小暑」2017

 7月7日は、二十四節気の「小暑」です。暦便覧によれば、「大暑来れる前なれば也」です。梅雨末期に入り大雨の降る頃です。近年は毎年のように、大雨の被害がくり返されています。今年も、九州地方で大きな被害が出たようです。
  私は貧血などの体調不良で、引きこもり生活です。いつものように、パソコン上で、木津川土手方面の散歩に出かけることにします。
 では、梅雨の晴れ間に、詩人の立原道造さんと一緒に散歩に出かけましょう。

  今の時期、土手の斜面には萱草(ワスレグサ)が咲いています。萱草といえば、立原道造の詩集「萱草に寄す」ですね。
  ~♪……夢は そのさきには もうゆかない/ なにもかも 忘れ果てようとおもひ/ 忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには/夢は 真冬の追憶のうちに凍るであらう/そして それは戸をあけて 寂寥のなかに/星くづにてらされた道を過ぎ去るであらう ♪~
 女性との出会いと別れ。孤独。美しいイメージの詩ですね。
  立原さんが、もしこの木津川土手に立ったらどんな詩をつくるのでしょうね。たぶんこんな詩だと思います。「初夏」という詩を紹介してみます。
 
  ~♪ 「初夏} 
街の地平線に 灰色の雲が ある
私の まはりに 傷つきやすい
何かしら疲れた世界が ただよつている 
明るく 陽ざしが憩んでいる
 
そして 一本のポプラの木が
白い壁のまへで 身もだへしてゐる
ああ 西風が吹いてゐる きらきらと
うすい陽ざしがちらついている
 
しかし 屋根ばっかりの 街の
地平線に 灰色の雲が ふえてゆく
 
私を 生んだ 私の母の ちひさい顏を
私は 不意に おもひ出す
 
ああ 陽ざしがかくれる かげが
しづかにひろがる 風がやはり吹いている  ♪~

 あかるい日差しの中でも、「私のまはりに 傷つきやすい 何かしら疲れた世界が ただよつている」。漂う深い倦怠感。心の痛み。なぜか不意に母を思い出す。ああ、灰色の雲が日差しを隠していく。風も吹いていく……。立原さんにとってはこの時、「恋人」よりも「母」ですね。私も、もう長くは生きられない…、突然母を思い出したりします。
  萱草の咲く木津川土手を、立原さんとさらに散歩を続けたい方は、……
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   人生には絶望もあります。悲しみもあります。立原道造さんの詩をもう一つ。
 ~♪ 「歌ひとつ」
昔の時よ 私をうたはせるな
慰めにみちた 悔恨よ
追憶に飾られた 物語よ
もう 私を そうつとしておくれ
 
私の生は 一羽の小鳥に しかし
すぎなくなつた! 歌なしに
おそらく 私は 飛ばないだらう
木の枝の向うに 靑い空の奥に
 
未來よ 希望よ あこがれよ
私の ちひさい翼をつつめ!
そして 私は うたふだらう
 
大きな 眞晝に
醒めながら 飛びながら
なほ高く なほとほく    ♪~

 「追憶に飾られた物語よ もう 私をそうつとしておくれ 」、「おそらく 私は飛ばないだらう 」。「未來よ 希望よ あこがれよ」、「私の ちひさい翼をつつめ!」。 絶望の中から、詩人立原さんは飛び上がります。「なほ高く なほとほく 」…。希望や憬れを抱きつつ、孤独に、悲痛に…。
 今の時期、土手には、ヤブカンゾウ以外にも様々な花が咲いています。ヒメジョオン、アカツメクサ、ネジバナ、ムクゲ。頭上には、ホオジロ、田んぼにはサギ。今の時期、茶色のアマサギも見られます。希望を翼に込めて、さらに散歩を続けたい方は、……
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   さらに散歩を続けます。今の時期、土手周辺には、カワラナデシコが咲き乱れています。アカツメクサ、タンポポ、ガマ、ツユクサ、アカバナユウゲショウ、セリ、サツマイモ、ハス……なども花盛りです。
 まど・みちおさんは、ツユクサは青空からの雫だと言っています。
 ~♪「ツユクサのはな」
……あの はるかな ところから /おちてきて /よくも つぶれなかった /
あおぞらの しずく /いまも ここから /たえまなく /ひろがっていく /
なみのわが みえます /あのそらへの /とめどない /おもいなのでしょうか

 様々な花に思いを寄せながら、さらに土手の周辺を散歩したい方は、……
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2017年6月26日 (月)

二十四節気「夏至」・雨の詩

 6月21日は、二十四節気の「夏至」でした。この時期は、ちょうど梅雨の時期に当たります。今年の梅雨は晴れの日が続き、26日になってようやく雨が降り、やっと梅雨らしい天気になってきましたね。近年は異常気象で、大雨に注意です。
 古来、自然に親しんできた日本人にとって、雨は詩作の重要なモチーフですね。万葉集では、雨の登場する歌は、100首を越えているそうです。
 ~♪ひさかたの 雨の降る日を ただ独り  山辺に居れば いぶせかりけり♪~
 意味:雨の降る日にただひとり山辺にいると、気分はすっきりしないものです。
  大伴家持が紀郎女に贈った歌です。雨で気分がすっきりしないというより、あなたが居ないので寂しいといったところでしょうか。 家持はこまめな色男?

 今の時期の雨に関する言葉も多いです。いくつか挙げてみましょう。ほんの一部ですが…。在りすぎて使い分けるのが大変ですね。
 「青時雨」(青葉に降る雨)  「樹雨」(霧の雫が葉に溜まり落ちてくる水滴)
 「喜雨」(日照りの後の恵みの雨)  「雨濯」(すべてを洗い流すような雨)
 「五月雨」(さみだれ、梅雨の雅語、皐月雨)  「翠雨」(すいう、若葉雨、緑雨)
  「卯の花くたし」(卯の花が散る頃=梅雨入り)   「梅霖」(梅雨の長雨)
 「旱天の慈雨」(日照り続きの乾いた大地に降る恵みの雨)……

 雨のでてくる詩をいくつか紹介してみます。詩人たちには、どんな雨が降っていたのでしょうね? 詩人と雨です。
 雨の最も似合う詩人は、やはりあの人、中原中也さんですね。
   ~♪ 六月の雨
またひとしきり 午前の雨が
菖蒲のいろの みどりいろ
眼うるめる 面長き女
たちあらはれて 消えてゆく

たちあらはれて 消えゆけば
うれひに沈み しとしとと
畠の上に 落ちてゐる
はてしもしれず 落ちてゐる

  お太鼓たいこ叩いて 笛吹いて
  あどけない子が 日曜日
  畳の上で 遊びます
         ・・・・・♪~

 雨の中に別れた女性の幻影が浮かんできます。追憶。挫折。愁いに沈み、雨はしとしとと降り続きます。あどけない子どもが無邪気に遊ぶ、けだるい日曜日。降っているのは、「梅霖」?、「愁霖」?、「寂霖」?……。

 詩人と雨。祈りに満ちた雨の詩を書いたのは八木重吉さんですね。
  ~♪雨はつちをうるおしてゆく 
   雨というもののそばにしゃがんで
   雨のすることをみていたい ♪~

 敬虔なクリスチャンだった彼の場合は、天から落ちてくる雨に、神の御業を感じとっていました。彼の雨は「旱天の慈雨」?「静寂の雨」?  八木重吉さんと一緒に、雨の鴻ノ巣山を散歩したい方は… ★二十四節気「夏至」・雨の鴻ノ巣山へ→ こちら 
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   詩人と雨。金子みすずさんの場合は…。
~♪ほこりのついた/芝草を/雨さん洗って/くれました。
  洗ってぬれた/芝草を/お日さんほして/くれました。
  こうして私が/ねころんで/空をみるのに/よいように。

 「すべてのものが支え合い、補い合い、つながりあって存在している。私もまたその中に生きている」。金子さんの雨は、「喜雨」?、「慈雨」?

 詩人と雨。蛙の詩をたくさん書いた草野心平さんの場合は…「驟雨」。
 ~♪ 驟雨直後
まるでポンプだ
放射する光線のポンプだ
そして又
歓声をあげるようなこの野っ原のざわめき!
万歳だ        ♪~
 野っ原に、生き物たちの歓声が爆発しそうですね。実に草野心平らしいです。蛙たちの喜ぶ声も聞こえそうです。万歳だ!

 私は以前、雨が降るとよく宇治田原の林道に行っていました。「卯の花くたし」の雨が降り、杉の樹間に霧が流れ、小紫陽花がひっそりと咲いていました。そんな静かな林道を散歩したい方は、…… ★二十四節気「夏至」2011へ → こちら 
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    白洲正子随筆集、「かくれ里」には、「田原道」という題で、宇治田原町高尾のことが紹介されています。白洲正子さんと一緒に、静かな林道の雨に打たれたい人は、…
  ★白洲正子と宇治田原町高尾へ → こちら 
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2017年6月22日 (木)

二十四節気「夏至」2017

 6月21日は、二十四節気の「夏至」でした。暦便覧では、「陽熱至極し、また日の長きのいたりなるを以て也」です。
 「陽熱至極」となっていますが、日本の今は梅雨の真っ只中。今年の「夏至の日」当日は大雨になりました。一日中引きこもり生活でした。
 「夏至」の時期は、土手の周辺はどんな様子なのでしょうか。今回もまた、パソコン上で散歩に出かけましょう。夏の野の花が待ってくれていることでしょう。

 人はなぜ散歩するのでしょうか? 何を求めて…?
 散歩の達人、詩人の長田弘さんに聞いてみましょう。
          (森の絵本より)
~♪ どこかで よぶ声が しました。
   でも 見まわしても だれもいません。
       …………
      「いっしょに ゆこう」
      すがたのみえない 声が いいました。
   …………
      「きみの だいじなものを さがしにゆこう」
   すがたの見えない 声は いいました。
   「ほら、あの 水のかがやき」と、
   その声は いいました。
   声のむこうを きらきら光る
   おおきな川が ゆっくりと 流れてゆきます。
   「だいじなものは あの 水のかがやき」
   …………
   「たいせつなものは あの たくさんの 花々のいろ」
   「ほら、あの わらいごえ」
   …………
   夏がきて 秋がきて 冬がきて 春がきて
   そして 百年が すぎて
   …………
   どこかで よぶ声が しましす。
    「だいじなものは 何ですか」
    「たいせつなものは なんですか」  ♪~

 私たちにとって、大切なものとは何なのでしょうか? きらきらと輝く風景や野の花たちと対話しながら考える、それが散歩なのですね。長田さん。
 詩人の吉野弘さんが、四つ葉のクローバーを見つけたようです。何か幸福について考えているようです。
 哲学者の三木清さんも幸福について語っています。
 「幸福は表現的なものである。鳥の歌ふが如くおのづから外に現はれて他の人を幸福にするものが眞の幸福である。」と。
 では、自然や花々と対話しながら木津川土手周辺を散歩しましょう。

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   田植えも終わり、遙かに広がる水の国。
 なつかしい桑の実。青い空。白い雲。
 土手に咲き乱れるアカツメグサ、ヒメジョオン。

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   気がつくと、いつのまにか咲き始めたカワラナデシコ。
 いつも季節を知らせてくれるのは野の花々です。
 季節の変化に気づくとは、うつろう自然と時間の中にある自分に気付くこと。止めようもなく流れてく時間。その時間の中を旅をしている一人の旅人。わたし。
  6月23日は、沖縄慰霊の日。 夏に咲く花、夾竹桃♪~
 水の中から蓮の葉が顔を出し始めました。

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   夕日に輝く、寺田芋の畑のスプリンクラー。
 芽生え始めた蓮。
 夜の月見草。

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