二十四節気「小雪」・鴻ノ巣山
今は、二十四節気の「小雪」の時期に当たります。
貧血が進んで来たため、ほんの近くなのにもう一年半ほど、鴻ノ巣山に行けていませんでした。「小雪」の小春日和の暖かさに誘われて、思い切って出掛けてきました。トボトボ歩きです。お婆さんに追い抜かされて…。
鴻ノ巣山につながる水度神社の参道では、いつの間にか新しいヘアサロンがオープンしていました。店の看板は大きな時計です。時の流れを感じさせるかのるように…。
参道の木々はみな、紅葉して盛んに落ち葉を散らしています。
~♪「木」(まどみちお)
木が そこに立っているのは
それは木が
空にかきつづけている
きょうの日記です
あの太陽にむかって
なん十年
なん百年
一日一ときの休みなく
生きつづけている生命のきょうの……
……… ♪~
参道の木々たちは、しばらく会わない間にどんな日記を書いていたのでしょう。
今年の紅葉は、今を盛りに終わりが近づいています。
参道の石畳の上には、赤や黄色の落ち葉が風に吹かれています。
石垣りんさんの「風」という詩を思い出しました。
~♪「風」 (石垣りん)
………
生まれたとき
人は舞い落ちた
一枚の木の葉
どこから?
どこかから。
そのときから
帰れない。
どうしても
帰れない。
………
みんな
あしたのほうへ
吹き寄せられてゆく。
……… ♪~
人は木の葉。二度と帰れない落ち葉。漂泊感・締命感が漂っていますね。
ダダイズムの詩人・高橋新吉さんの場合は、もっとストレートで強烈です。
~♪「落ち葉」 (高橋新吉)
生きるに及ばざるなり
死に果てて白く
風にさらされるべきなり
しぐるる雨のさびしさに
……
地に散りきし落ち葉なれば
何事もなく眠るべし ♪~
落ち葉を見て思うことは、人それぞれですね。
私は高橋新吉派かな? どちらかといえば…。
鴻ノ巣山へつながる水度神社では、入り口の木がよく紅葉しています(最初の2枚の写真)。 3枚目は、私のお薦めポイントの紅葉のトンネル。
石垣りんさんに、「枯葉」という詩があります。
~♪ 「枯葉」
どいてくれないかな
木の葉は
言葉にならない
そんな要求の前に
少しずつ枯れ
少しずつ落ちていった
病み疲れたちちが
死にたい、とひとこともらした
私は言わなかった
負わされた生活が重荷だとは
………
木の葉がいたたまれなくなって
落ちていくのを
冷たい自分の
ひとつの仕打ちのために
おびただしい悔いが
降りつもるのを ♪~
石垣さんに背負わされた家族の重み。この詩は、ちょっと深刻ですね。
5千億円も社会保障費を削ったと自慢する首相がいる国では、特にそうですね。
写真は、お薦めポイントを散歩する人。散歩の人が行き交います。
帰りは、すっかり日が傾いて、黒い影が長くくっきりと伸びていました。
その中を落ち葉がカサカサと、風に吹き寄せられていきます。どこへ?
お気に入りの一枚が撮れました。 では。また。
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コメント
墓石さま
鴻ノ巣山に行かれたのですね。よかったです!
初めて墓石さまの写真を拝見した時、
鴻ノ巣山の風景が、とっても素晴らしかったのです。
私の憧れの場所です。
きれいな紅葉が見れてよかったですね。
想像するに、地面からのアングル、見上げる姿勢
けっこう大変だったでしょうね。
でも、美しい風景を拝見することができました。
本当にありがとうございます。
枯葉の季節、私は石垣りんさんの「凋落」
(?今手元に詩集がないのでタイトルが曖昧です…)を思い浮かべます。
いさぎよい葉っぱに、敬服しています。
どうかご健康が守られますように
お祈りしています。
投稿: ひかる | 2017年12月 3日 (日) 21時56分
ひかるさん、こんばんは。
写真を見ていただきありがとうございます。
石垣りんさんは、私の一番好きな詩人です。
「凋落」が出てくるのは、「用意」という題の詩です
ね。私も好きな詩です。
「これが私の意志、これが私の願いのすべて!」
「それは凋落であろうか、
いっせいに満身の葉を振り落とす
あのさかんな行為は―」
「私はいまこそ自分のいのちを確信する」
「私は身内ふかく、遠い春を抱く
そして私の表情は静かに、冬に向かってひき緊る」
というようなフレーズが頭に残っています。
魅力的な詩ですね。
来春の桜を目指して、気を引き締めていきます。
ありがとうございました。
寒くなるようです。ひかるさんもお元気で。
投稿: 墓石 | 2017年12月 3日 (日) 22時39分
墓石さん おはようございます。(*^-^*)
今炬燵に入ってPCをやっています。
宇治では季節の変わるこの時期、詩人の方々の
気持と重なります。
鴻巣山に行けて良かったですね。
近くに良い被写体があるものです。長く行かれていると、
墓石さんしか知らない被写体があるものですね。
楽しませて頂きました。
石垣りんさんの詩の世界とぴったりですね。
空を見上げささやかながらも希望を抱いて生きて
いきたいものです。
投稿: 輝子 | 2017年12月 5日 (火) 10時14分
輝子さん、おはようございます。
物干し台読書をしていましたが、風が冷たすぎるので、
今、退散してきたところです。冬型が続くようです。
輝子さんは、永観堂や哲学の道方面に行かれたようですね。
やはり、紅葉の名所は違いますね。いいですね。
結局、私は何処へも行かずに終わりました。
宇治川のダム湖なら、まだまにあうかも知れません…。
楽しみながら日を送りたいものです。
輝子さんも、体には気をつけてお過ごしください。
投稿: 墓石 | 2017年12月 5日 (火) 11時06分