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2017年11月19日 (日)

日米地位協定のここが問題

 前回の記事で、自衛隊の指揮権は、米軍の影響下に置かれていることを書きました。自衛隊の指揮権問題に焦点を当てて書きましたので、日米地位協定については書くスペースが無くなりました。今回は、日米地位協定について書いてみます。

 【何かおかしい地位協定】
  先日10月11日に、沖縄高江で米軍のCH53Eヘリコプターが不時着炎上しました。私有地であるにも拘わらず、米軍が封鎖し、警察も消防も立ち入ることが出来ず、もちろん調査もできずでした。防衛大臣が原因が分かるまで飛行禁止を求めると述べましたが、数日後には原因も明らかにされず飛行が再開されました。
 2004年に沖縄国際大学にヘリが墜落しましたが、今回とまったく同じでした。
 オスプレイが、日本上空の7つの飛行ルートで低空飛行をくり返しているようなのですが、詳細は発表されないまま、政府も止めさせようとしていないです。
 6千億円を超える駐留経費が支払われています。
 普天間基地の危険性を除去するために、辺野古に基地を移転すると言っていますが、辺野古は輸送艦が着岸でき、オスプレイや兵員を直接運べるため、明らかな基地拡充になっています。なぜ直ぐに普天間基地は閉鎖出来ないのでしょうか。
 いったい、これらはどうなっているのでしょうか?
 従属の協定、「日米地位協定」の問題点をみていきます。

  【旧安保条約と日米行政協定】
  朝鮮戦争下、日本は西側諸国との間でサンフランシスコ講和条約を締結し、独立国となります。この条約第6条(a)項には、すべての占領軍は90日以内に撤退しなければならないことが決められていました。
 しかし、同時に結ばれた「旧日米安保条約」と「日米行政協定」により、米軍は引き続き日本に駐留することになります。
 この時、条約交渉に当たったダレス(当時は国務省顧問・後の長官)は、条約の意味について次のように述べています。
 『望む数の兵力を、望む場所に、望む期間駐留させる権利を確保すること』
 つまり日本は、「旧日米安保条約」と「日米行政協定」により、引き続き米軍の実質的な占領下に置かれる事になりました。

  【新安保条約と日米地位協定】
 1960年に旧安保条約は新安保条約に、日米行政協定は日米地位協定となりました。
 全国で大きな安保反対闘争が起こりました。
 しかし結局、新安保条約、日米地位協定となっても、ダレス長官の述べた狙い、『望む数の兵力を、望む場所に、望む期間駐留させる権利を確保すること』は、貫かれたまま現在に至っています。 次に具体的にみていきます。

  【米軍は望む場所に、望む期間駐留】
 日米地位協定では、2条1項で、米軍は基地の使用を許可され、具体的詳細については、25条で設置される日米合同委員会で取り決めるとなっています。
 地位協定では、米国と日本が合意すれば、国内のどこでも、地元住民・地方自治体の意向がどうであろうとも、基地として提供するのに制限はありません。
  また、どのような具体的条件で基地を提供するかについて何の規定もありません。
『米国と日本の合意』は、日米合同委員会で行われます。国会を通じてではありません。日米合同委員会は非公開で、合意事項も非公開が原則となっています。つまり、国民から見れば、密室協議ですべてが決められる仕組みになっているのです。
 まさに、『望む場所に、望む期間駐留させる権利』が維持されているのです。

 また、基地が必要でなくなった場合の返還義務については、2条3項に規定はありますが、どんな理由で返還請求か出来るかの根拠規定はありません。
 普天間基地が、住民にとってどんなに危険な基地であっても、それをもって返還理由とする根拠はありません。
 一旦基地となると、遊休地となってもなかなか返還されず、池子弾薬庫は米軍住宅用地に転用されてしまいました。
 すべては、密室の日米合同委員会で取り仕切られているのです。

  【米軍基地は外国と同じ】
 3条1項は、「合衆国は、基地内において、その設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる」となっています。これが、「米軍の排他的管理権」の根拠です。
 つまり、米軍基地内では日本の法律は適用されないのです。
このことが様々な問題を引き起こしています。
 例えば、航空機の騒音問題です。裁判所は、受忍限度以上の騒音であると認定しても、「第三者行為論」により、それを止めさせることは出来ないでいます。
 「第三者行為論」とは、米軍は日本の法律の及ばない「第三者」なので、日本政府にはそれを差し止める権限は無い、という理屈です。
 基地内での土壌汚染、環境汚染、有害廃棄物の投棄があっても、日本政府はそれを止めることも出来ず、調査することも出来ません。
 返還された基地内で環境汚染が発生しています。鉛汚染。フッ素汚染。タール状物質の入ったドラム缶。ヒ素汚染など。返還されたサッカー場地中から、大量の枯れ葉剤と思われるドラム缶が出てきた例は、先日NHKでも報道されました。

  【船舶、航空機の無料自由移動】
 地位協定第5条は、米軍の船舶・航空機は無償で日本の港湾、空港に出入りできること、米軍の船舶・航空機・車両並びに軍人や家族等は、施設・区域への出入、施設・区域間の移動、施設・区域と日本の港・飛行場間の移動ができること、軍用車両の移動には、道路使用料等の課徴金を課さないことなどを定めています
  高速道路料金など無料。道路交通法違反もとがめられません。

 基地外での演習・訓練については、地位協定上は規定がなく、空では、広大な訓練空域が設定され、さらに訓練空域以外でも米軍が独自の8カ所の低空飛行訓練ルートを設定しています。オスプレイも同様に低空飛行訓練を行っていますが、政府は辞めさせることも出来ないし、止めさせようとしてもいないのです

  【巨大な航空管制空域】
 米軍は、横田、岩国、嘉手納、普天間の4カ所の航空基地で飛行場管制業務を行っています。広大な空域が、いまだにアメリカの占領状態にあるのです。首都圏のほとんどを覆う横田空域は特に広大で、民間機の離発着の大きな障害となっています。首都圏上空は、主権が及ばない外国の空なのです。
 
 【裁判権の問題】
 裁判権の問題についても、様々な問題が発生しています。
 公務中の米兵には、日本側には第一次裁判権はありません。通勤途上も含まれます。公務証明書が出されると、直ちに釈放されます。
  地位協定17条5項(c)により、日本側に第一次裁判権がある場合でも、米兵等が米軍基地内にいるときは、その身体は、起訴されるまで日本側に移すことは出来ません。つまり、基地内に逃げ込まれると取り調べることが出来ないのです。

  公務外の米兵等の犯罪は、日本側が第一次裁判権を持ちますが、日本国にとって著しく重要と考えられる事例以外は、第一次裁判権を行使することはないと合意しています。(1963年の合意議事録)
  以上のような理由で、日本人の起訴率は、5割であるのに対し、米兵は2割にとどまっています。脅迫、詐欺、恐喝、横領、盗品などで起訴された米兵は一人もいません。強姦致傷で36%、強姦20%となっており、著しい不平等が発生しています。

  【憂うべき対米従属状態】
  こんなやりたい放題状態を生み出しているのは、日米地位協定の不十分な規定により、法の空白地帯が生み出されているからです。その空白を埋めているのは、日米合同委員会での取り決めと、地位協定成立時に合意した公式議事録(非公開)なのです。
  以上みてきたように、日米地位協定により、日本の主権が損なわれています。
  こんな対米従属状態で、自衛隊を憲法に位置づけることは出来ません。自衛隊が軍隊となれば、それはアメリカ軍の下働きの軍隊であり、自主独立の専守防衛のための軍隊でないことは明らかです。日米地位協定の改定と集団的自衛権を容認する平和安全法の廃止が、憲法改正の前提条件です。

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