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2017年7月17日 (月)

日本の農業と食が危ない~種子法廃止~

 Tane
  今、加計学園問題が話題になっています。テレビに登場する評論家が、「特区制度は良い制度だが、加計学園のみが優遇されたことが問題だ。」という追求の仕方をすることが、しばしばあります。これは、間違った議論です。特区制度も大変重要な問題です。
 国家戦略特区とは、新自由主義的な規制緩和政策です。企業が規制を受けずに、自由に利潤を追求するための政策です。今まで公共が担ってきた福祉、教育、医療、水道をはじめとする生活インフラなどを民営化して、企業の利潤追求に差し出すものです。
 種子法の廃止も、岩盤規制の緩和・撤廃という理由付けの下に企業の参入を拡大し、企業の利潤追求を種子生産分野に持ち込もうとするものです。いわゆる新自由主義的なアベノミクス農政の一環です。

 「種子法(主要農作物種子法)」とは、いったいどんな法律なのでしょうか。
  種子法が制定されたのは1952年。戦中から戦後にかけて食糧難の時代を経験した日本が、「食料を確保するためには種子が大事」と、「二度と国民を飢えさせない。国民に食料を供給する責任を負う。」という国家の明確な意思に基づき制定されました。
  種子法では、コメ、麦、大豆といった主要作物について、優良な種子の安定的な生産と供給を「国が果たすべき役割」と定めています。コメ、麦、大豆などの種子は、食糧としての重要性や、野菜などと違い短期間での種子の開発・普及が困難なものです。このため、国の責任として都道府県に対し、種子の開発や生産・普及を義務づけているのです。
  この制度の下で、都道府県は農業試験研究の体制を整え、地域に合う品種を開発し、「奨励品種」に指定し、さらには原原種や原種の生産圃場の指定、種子の審査、遺伝資源の保存などを行ってきました。

 4月14日、共謀罪法案が注目を集める中、たいした議論もなく、マスコミも全く報道しない中で「種子法(主要農作物種子法)」の廃止が国会を通過しました。
  政府や農水省は、「国が管理するしくみが民間の品種開発意欲を阻害している」と説明しています。種子の生産コストが国の財源でまかなわれている今の制度では、都道府県と民間企業との競争条件が対等ではないというのです。つまり、規制緩和してもっと企業に利益をまわせというわけです。

 都道府県が、予算を削り種子事業から撤退し、すべて民間企業の手に種子が委ねられたとしたらどうなるのでしょうか。
  例えばコメについていえば、日本では現在300品種近くのコメが作られています。種子生産企業が利益を上げるためには、たくさんの需要があり、利益が上がる一部品種に集中する必要があります。300品種すべてに責任を持つことはしません。
 300品種コメの中には、愛知県の中山間地でのみ栽培されている「ミネアサヒ」という 大変味の良いコメがあります。三河地方のみで流通し、地域振興資源となっている品種です。このような少量品種では、コストもかかり企業は利益を上げることはできません。やがて切り捨てられていくことは火を見るより明らかです。これは、別の視点から見れば、地域の切り捨てということでもあるのです。

 また、国や都道府県が持つ種子や施設を民間に提供し、品種開発を進めるということは、税金を使って育成した品種という国民の財産を民間企業へ払い下げることです。
  そして、企業はやがて改良した新品種に対して特許を取得します。特許料を払わなければその種子が使えなくなる、つまり種子が企業に囲い込まれてしまう「種子の私有化」が起こります。農家は毎年高い種子を買わされることにもなります。

すでに民間が主体となっている野菜などの作物では、圧倒的な技術力と資本を持つ数社の多国籍企業が、中小の種苗会社を次々に買収し、世界中にシェアを拡大しています。スーパーなどで販売されている野菜の多くも、そうした多国籍企業の種子によるものになっています。

 世界の種子市場は急速に寡占化が進んでいます。世界的な多国籍企業が、各国の種子企業を買収して主要作物の遺伝資源を囲い込むと共に、遺伝子操作による技術開発により新品種の特許を独占し、世界の農業を支配してきています。世界の上位10社で、70%近いシェアを持つまでになっています。
 23%のシェアを持つアメリカのモンサント社は、遺伝子を組み換えて、自社の農薬しか効かない種子を農薬とセットで販売するという方法で巨利を得ています。

  地方切り捨てや小規模農家を排除する政策を進める「アベノミクス農政」は、さらに種子事業を民営化し、今まで日本が蓄積してきた公共の種子を多国籍企業が開発した「特許種子」に置き換えることにつながっていくものです。
 世界的に見ても小規模農家が食料生産の重要な部分をになっています。世界各地で、巨大資本による種子の囲い込みに反対し、小規模農家を保護して、農業の多様性を保持しながら食料主権を守っていこうとする市民や農民による運動が起こっています。
  「種子は農業の生命線であり、食の根幹であり、したがってすべて生命の源である。」京都大学の久野秀二教授の言葉です。
  今後も種子法廃止の行方を見守っていく必要があります。
 国家戦略特区や規制改革会議が打ち出す、新自由主義的な企業重視の政策に目を向けていくことが必要です。カジノ容認。医療特区での株式会社の病院経営。混合診療解禁。…など。もう課題は山積みです。     

  なぜ農家は、毎年種子を購入しなければならないのか? 種子の自家採取は出来ないのか? 疑問を持たれた方は、「タネが危ない」へ → こちら

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コメント

墓石さま こんばんは。

墓石さまの興味の広さと造詣の深さに敬服いたします。
共謀罪の陰にこんなにひどい法律が通っていたなんて、
全く知りませんでした。

昔お世話になった農家の方は、野菜の種を
翌年のために大事に大事に取っておられました。
F1の種の野菜や工場で作られた野菜よりも
ずっと美味しかったように思います。
苦いキュウリや臭みのあるニンジンが懐かしいです。

梅雨らしからぬ日々が続いていますが、
写真を拝見して、季節と涼を楽しんでいます。
特に鴻ノ巣山の写真、毎日見ても見飽きません。
ありがとうございます。

厳しい暑さが続きますが、
どうかご体調が守られますように。

投稿: ひかる | 2017年7月17日 (月) 21時43分

ひかるさん、おはようございます。
コメントありがとうございます。

秘密保護法や安保法、それに共謀罪法、次々と成立していきます。
カジノ特区、医療特区、種子法廃止。ごまかしの働き方改革……
もう、日本が崩れていく危険を感じています。
何か安心できないです。これも性分ですね。

毎日暑いです。昨日は、猛烈な雨と雷でした。
暑さでかなりやられていますが、がんばって生活します。
ひかるさんも、お元気でお暮らしください。

投稿: 墓石 | 2017年7月18日 (火) 09時45分

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