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2017年6月30日 (金)

年金問題、最低限の理解

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  暇に任せて、図書館から年金問題についてのいろいろな本を借りてきて、猛勉強してみました。制度の大まかな成り立ちや問題点について、自分なりに理解できた範囲で問題点を解説してみます。
 年金制度は複雑な経緯を辿っており、多くの人が理解不足と不信・不満のかたまりとなっています。政治家や評論家がメディアを通じてあれこれ発言し、何が真実か解らなくなり、やたら不安がかき立てられています。次のような意見もよく耳にします。

 ◎年金未納者が多く、今の年金制度は間もなく破綻する。若い世代は老人になった時、年金はもらえないかもしれない。
 ◎高齢化社会が進み、社会保障費は増加の一途である。年金についても消費税を増税して、その財源で年金を支えるべきだ。
 ◎今の老人は年金をもらいすぎている。人口減少で現役世代に大きな負担がかかっている。現在の年金支給額は切り下げるべきだ。
 ◎保険料を未納にし、それを積み立ておくか、民間の年金保険にした方が得だ。
 ◎GPIFが株式に投資しているが、利益が出れば年金給付が増える…等々。
 
  これらは、すべて間違った意見です。不十分ながら解説してみます。

 【公的年金は賦課方式】
 現在の公的年金制度は賦課方式をとっています。積み立て方式ではありません。この賦課方式というものを理解するだけでも、年金にまつわる間違った言説を見破ることができます。賦課方式とは何でしょうか? まずこれから解説します。
 賦課方式では、現役世代が収めた年金保険料が、年金受給世代の年金として支払われます。賦課方式は積み立て方式ではありません。いわば、川の流れのようなものです。上流から流れ込む保険料を下流で年金として受け取るわけです。「年金積立金が不足し、将来的に積立金が無くなれば、制度が破綻する」と不安を煽る人がいます。しかし、賦課方式では、原理的には積立金は不要です。積立金が不足し年金制度か破綻するということはありません。
 企業年金などの私的年金では、株式に投資し利益が出ればもらえる年金が増えます。しかし、賦課方式は、年金積立金を運用している法人・GPIFが、株式に投資して利益を出しても、それが年金支給額に反映されるという仕組みではありません。
 過去の経緯で積み上がっている積立金の株式への投資は、株価をつり上げるために利用されているだけ。しかも、民間に丸投げされていて、取り扱う銀行などが利益を手にしているだけです。公的な年金を市場運用している国はほとんどありません。
  ちなみに、企業年金などに使われている積み立て方式では、市場運用は絶対必要です。なぜなら、貯金と同じで、インフレなどに対応できないからです。

 【マクロ経済スライド】
 賦課方式の年金は、川の流れと同じです。上流からの保険料収入がある限り川は流れ続けます。しかし、人口減少、高齢化社会、インフレ、デフレ、景気の変動などがあり、この川の流れを一定に保つのは大変難しいです。そこで、2004年から導入されているのが、マクロ経済スライドという方法です。
 マクロ経済スライドを簡単に言えば、保険料が上がりすぎないように、上流側の保険料に上限を設けます。当然、下流で受け取る年金にも上限が発生します。その上で、人口減少、高齢化など将来的要素を考慮に入れて年金支給額を決定します。これにより、川の流れが維持できるようにコントロールするわけです。別の言い方をすれば、川の流れを維持するために、受け取れる年金を抑制するわけです。年金を抑制されるのは嫌だと言っても、川の流れを維持するための必要悪ということです。このように、現在の現役世代が年金世代となっても、川の流れが維持されるように人口減少や高齢化は織り込み済みで設計されています。いろいろ問題はあっても、川がすぐに干上がることはありません。
 団塊の世代が現役の頃は、高度経済成長もあり、年金会計にゆとりがありました。杜撰な年金運用もあり、年金をもらいすぎた人がいるのは確かです。しかし、マクロスライドで、徐々にゆがみは解消していっています。

 【公的年金はお得な保険】
 公的年金を払わずに、積立貯金をしたり民間の年金保険にすると、どっちが得なのでしょうか? 答えは簡単です。公的年金と同じ支払い率を持つ民間の年金保険はありません。なぜなら、国民年金には税金が投入されています。厚生年金では、保険料の半分は会社持ちです。公的年金に未加入という選択肢はありません。
 年金未納者は40%といわれています。これが社会的「悪」のように非難されることがあります。しかし、多くは、第3号被保険者や所得の低い人、学生など、法的に猶予されている人たちです。純粋な未納者は数%です。未納率が高くて年金を維持できないと騒ぐのは、問題が少しずれています。年金制度を維持するために未納者を減らす必要があるのではなく、「老後に年金をもらえない人を減らすために未納者を減らす必要がある」というのが正しい言い方です。

 【消費税と年金】
「社会保障のために消費税が必要…」という嘘から、日本人は、もういい加減に目を覚ますべきです。消費税は、貧乏人が消費しても金持ちが消費しても同じ税率です。これに対して所得税は累進課税で、所得の多い人ほどたくさん税金を払います。社会保障は、所得の多い人が、所得の少ない人を支えることにより成り立ちます。つまり社会保障は、所得の移転制度なのです。消費税には累進性がありません。社会保障の財源としては不適切です。世界の多くの国で、これは常識になっています。
 当然のことながら、消費税を年金財源にすることは間違いです。厚生年金の場合、保険料の半分は企業負担です。ここに、フラットに集めた消費税を投入することは、企業の負担を小さくすることになり、財界にとって有利な政策となります。
 消費税増税は、多国籍企業の利益を優先する新自由主義的経済政策を主張する経団連を先頭に、政界やマスコミに溢れています。政治家や評論家を評価するとき、消費税に反対か賛成かは、重要で基本的な目印です。
 公的年金の民営化を主張する人もいますが、問題外でしょう。

 【人口減少と年金】
 「日本の人口は減少している。2015年には、1人の老人を2.3人で支えていたのに、2050年には、1.3人で支えなければならない。」と、こんなふうにに言われると不安になります。2010年に8000万人あった生産年齢人口は、2030年には6700万人ほどになり、「生産年齢人口率」は63.8%(2010年)から58.1%(2030年)に下がる予想です。5.7%の減少です。20年で5.7%ということは、1年あたり0.3%です。これは、経済成長でカバーできる範囲の数字です。しかし、逆に言えば、経済成長(賃金の増加)が無ければ年金制度は維持できないということになります。年金制度の安定は、経済政策から大きな影響を受けます。賃金が増えなければ、保険料収入が減り年金制度は危機に陥ります。アベノミクスにより株高で好景気といわれていますが、実質賃金は下落しています。これは年金にとって良くない方向ですね。庶民の生活にとっても…。

  【年金制度を充実させるためには】
 2013年のOECDの発表によると、日本の年金水準(所得代替率)は、下から3番目の低さです。もっと年金を充実させるためにはどうすればいいのでしょうか。
 ★「増え続ける社会保障費で国の財政が破綻する。消費税の増税が必要だ。社会保障費削減はやむを得ない。」と危機をあおっている人々が、政治の主流となっています。国の社会保障に責任を持とうとしない政治を変えることは基本として重要です。
 ★社会保障は、税の累進性によって成り立ちます。所得を正確に掌握し、所得税率を上げて、所得税の累進性を高める必要があります。法人税や所得税に対する様々な優遇税制も見直す必要があります。金融所得の分離課税は廃止しすべきでしょう。
 ★年金を支えるのは現役世代です。非正規労働が4割を超えるなど、労働環境が悪化しています。「働き方改革」などという的はずれな政策ではなく、最低賃金の引き上げや、非正規雇用の正規雇用化などをすすめ、現役世代の賃金を増やすことが必要です。これにより保険料収入を増やして年金財政を安定させることができます。
 ★様々な学者や政治家が、いろいろな年金改革を提案しています。細かい数字と数式を並べられると、ついゴマカされてしまいます。しかし、ゴマカされないために一つの目印があります。それは、高所得の人ほど負担が大きくなる「応能負担原則」が強化されているかどうかをみることです。
 例えば、標準報酬の上限を引き上げて、高所得者の保険料負担を増やすなどの政策は、すぐにでも可能です。現在、標準報酬月額の上限は、62万円に据え置かれたままです。月収が62万円の人と月収が数百万円もある人が同じ保険料は、常識的にあり得ないでしょう。また、中小企業よりも大企業の方に高額所得者が多いとすれば、厚生年金の保険料は会社と折半なので、大企業がより多くの保険料の拠出をすることにもなります。
  年金積立金を株などに投資してないで、保険料を下げるなどに有効利用することも直ぐにできることです。
 ★マクロ経済スライドルールの変更、将来的な廃止。厚生年金と国民年金の会計統合など、今後に検討すべき課題です。

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コメント

墓石さん こんばんは。(*^-^*)

年金は不安感ばかりありましたが、少しばかり
理かい出来た気がします。
賦課方式で川の流れの様なものとか。少し安心。
解説して下さってありがとうございます。
やたら不安がる事もなく、むしろ所得税や、消費税に
注目が大事なんですね。とにかく大企業優先には
もううんざりです。こういうところから税を出して
頂きたいものです。

知人に超ドケチな人がいまして、小売業でして、儲けて
いても年金をかけてなかったのです。
老いて、まとまったお金はあっても年金ゼロで困ってる人
があります。
まぁ、その人の性格で仕方ないですね。

投稿: 輝子 | 2017年7月 1日 (土) 19時25分

輝子さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

年金は、消えた年金問題とかいろいろ問題になりました。
ほんとにズサンな運営になっていたのですね。
マクロ経済スライドの運用により、年金はゆっくりとですが、
まちがいなく下降していきます。
大企業優先ではなく、社会保障を重視する政治に転換
してもらわないと、先は暗いですね。

投稿: 墓石 | 2017年7月 1日 (土) 22時13分

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