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2017年5月30日 (火)

フクシマ6年後 消されゆく被害 感想

 Fukushima
  日野行介、尾松亮共著「フクシマ6年後 消されゆく被害」~歪められたチェルノブイリ・データ~ (人文書院)を読みましたので、感想を書かせていただきます。
  著者の日野行介氏は、毎日新聞記者。
  尾松亮氏は、関西学院大学災害復興制度研究所研究員。

 安倍首相がオリンピック招致演説で、「フクシマはアンダーコントロール」と演説しました。多くの国民は、アレッ?と思ったと思います。立ち並ぶタンクのあちこちから汚染水が漏れ、山側から流れ込む地下水は止められず、それが汚染水となって海側に流れ出している状態は今も続いています。日本国民は、オリンピックのために世界に向かって嘘をついたことになります。

 多くの文化人や科学者、評論家が、原発の安全神話を当たり前のように語っていました。原発事故が起こり誰かが責任を取ったでしょうか? 
 第一義的責任を負うべき東京電力は生き残り、20数兆円ともいわれる廃炉費用は、全国民が税金と電気代で支払う仕組みも作られました。

 除染が進み避難指示の解除が行われています。しかし、国民の年間許容被爆線量は1mSvですが、解除地域は20mSvとなっています。この数値は、安心して暮らせる基準として設定されたものではなく、本来、緊急避難をすべき基準として決められたはずのものです。空間線量が20mSvであっても、到るところにホットスポットと呼ばれる高線量の地点もあります。いつのまにか、緊急避難基準が安全・安心基準になっているのです。
 避難解除された地域の住民への支援は打ち切られ、地域へ帰れば、他の国民とは違った、避難基準の場所での生活を強いられます。これに従わない住民は「自主避難者」となるわけです。「自主避難者」は、自らには何の責任が無いにもかかわらず、補償もなく避難を続けるか、不安を抱きながらも生活環境の整わない自宅へ帰るかの選択を迫られているのです。
 先日、今村雅弘復興大臣が、自主避難者の避難行動は「自己責任」であるとの見解を示しました。その背後にある考えは、政府が科学者の知見を取り入れ設定した安全基準を受け入れない「自主避難者」は、放射能に対して科学的に無知であるか、ワガママであるというものです。だから支援の必要はないと…。
 「自主避難者」の子どもがいじめにあう事件も報道されています。
 復興庁の水野靖久参事官は、ツイッター上で原発の問題を追及する市民団体を「 左翼のクソども」と暴言を吐き辞任しました。風評被害は国民の放射能に対する無知からきていて、それを「左翼のクソ」どもが煽り立てているというわけです。
   原発問題については、忘却と再稼働が進む背後で、ドロドロとした混乱状態が続いています。放射性廃棄物の処理についても、トイレのないマンション状態です。

 前置きが長くなりました。この本の内容を部分的ですが紹介してみます。

 第1章、著者の日野氏は、子供を連れて「自主避難」している母親たちを取材し、周囲からの厳しい反応を報告します。「勝手に逃げたのに賠償をもらった」ずるい人、ありもしない不安にさいなまれた「頭のおかしな人」のように見られ、学校では子供がいじめられる事例も発生しています。自主避難を隠して生活している人も多くいると……。
 健康への影響を心配して、母親が子供を連れて避難するのは普通のことなのに、そういう人は守られなくていいのか?。国は、早々と住宅支援の打ち切りを決めています。「もう5年も経ったんでしょ」と、周囲の視線の冷たさは増しているとのことです。

 第2章では、福島県で行われてきた県民健康調査の甲状腺検査について問題点が指摘されています。
 福島県では、県内に住んでいた18歳までの子ども38万人を対象に、甲状腺の検査が行われています。15年3月時点で112人が甲状腺癌とされました。これは、通常の罹患統計からすると、数十倍の多さであるといいます。しかし、県民調査検討委員会は、「放射線の影響は考えにくい」と報告しています。その論拠として出されるのが、「チェルノブイリ」ではどうだったかという知見です。
 ①チェルノブイリでは、4~5年後に甲状腺ガンが増加した。
  →したがって、今まで福島でみつかった甲状腺ガンは事故との因果関係はない。
 ②チェルノブイリでは、事故時5歳以下の層に甲状腺ガンが多発した。
  →福島では5歳以下の層に増加はないので、チェルノブイリとは違っている。
  ③チェルノブイリに比べ、福島は被爆線量がはるかに少ない。
  →したがって、福島での甲状腺ガンの増加は考えにくい。

 福島原発の事故の影響を否定する人たちがいつも重要な論拠としているのが、「チェルノブイリの知見」なのです。
 ロシア語に堪能な著者の尾松氏は、チェルノブイリ被災国のロシア語原文資料に直接あたります。「ウクライナ政府報告書」だけではなく、まだ翻訳されていない「ロシア政府報告書」にもあたり、福島の検討委員会が提示する説明は正確ではないことを明らかにします。
   ①チェルノブイリでは、4~5年後に甲状腺ガンが増加した。
     →翌年から増加をしている。
   ②チェルノブイリでは、事故時5歳以下の層に甲状腺ガンが多発した。
   →事故時5歳以下の層に甲状腺ガンが多発するのは、10歳後半になってから。
 ③チェルノブイリに比べ、福島は被爆線量がはるかに少ない。  
     →チェルノブイリでは、被爆線量が少ない地域でも甲状腺ガンが増加している。
 このように、チェルノブイリの知見が、都合よくねじ曲げられ、一部が隠されているのです。

 このあと、この本は、第3章 日本版チェルノブイリ法はいかに潰されたか/第4章 闇に葬られた被害報告/ 第5章 チェルノブイリから日本はどう見えるのか/ となっていますが、スペースが無くなりました。
 「民主主義は、国民による意思決定への参加を保障することで成り立つ。その意志決定の前提となる情報が、いびつに歪められた社会では、民主主義はあり得ない。原発事故は民主主義の問題である。」 著者たちの熱い訴えが新鮮です。
 日本にとって原発問題は、逃れられない課題ですね。 お薦めします。

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コメント

墓石さん こんばんは。(*^-^*)

今日は暑いでしたね。体調は如何ですか?

真実がゆがめられ報道される。最近得に感じます。
ゆがめられてるのがアリアリと解りますね。
何か不気味なものが蔓延る様な。

また北朝鮮みたいな悪魔の様な国が隣国にあるので、
どうすれば良いのか?

無知な私には解りませんが、民主主義を守って欲しいです!

投稿: 輝子 | 2017年5月30日 (火) 19時36分

輝子さん、こんばんは。

今日は暑かったですね。今も暑いです。
今日は一日中家に引きこもっていました。
明日は雷雨が期待できるらしいですよ。

最近の世の中、何か真実が隠され、マスコミも
歯切れが悪いですね。ちょっとイヤですね。

北朝鮮のことは難しいです。
これからどう展開するのか?
よく見守っていくしかないですね。

投稿: 墓石 | 2017年5月30日 (火) 20時30分

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