« 定期診察(113)・貧血進行 | トップページ | 二十四節気「小暑」2016・後半 »

2016年7月15日 (金)

二十四節気「小暑」2016

 7月7日は、二十四節気の一つ「小暑」でした。江戸時代の暦便覧によれば、「大暑来れる前なれば也」とあります。間もなく本格的な夏ですが、梅雨はまだ明けておらず、雨の日と蒸し暑い梅雨の晴れ間の日が不規則に続いています。

 今の時期、木津川の土手はどうなっているでしょうか。「小暑」の日の当日は、梅雨の晴れ間の良い天気になりました。早速、散歩に出かけてきました。

 土手に上がると、緑の夏草の間に咲く橙色の花に、ハッとするような、鮮やかな驚きを感じます。薮萱草(ヤブカンゾウ)です。土手の斜面のいたるところに咲いています。
 ヤブカンゾウなどの萱草の花は、古来からワスレグサ(萱草)と言い、身につけていると人生の苦しみを忘れさせてくれる花でした。 万葉集から一首。
  ~♪ 忘れ草 我が紐に付く 時となく 思ひわたれば 生けりともなし♪~
 意味:忘れ草を私の衣の紐に結び付けているが、いつもあの人のことを思っているので、とても心が苦しいです。
Shousho2016101Shousho2016101_01Shousho2016101_02  

 

 

 

   二十四歳の若さでなくなった詩人、立原道造の第一詩集は、「萱草(わすれ草)に寄す」です。結核の療養のために一時期を過ごした信州追分け村(軽井沢)での、少女との出会いと別れを詠ったソネット詩集です。
 詩集は、「はじめてのものに」から始まります。少女との出会い。初めての浅間山噴火の体験。人の心への、言い知れぬもどかしさ、不安。
   ~♪ はじめてのものに  (立原道造)
    ささやかな地異は そのかたみに
    灰を降らした この村に ひとしきり
    灰はかなしい追憶のやうに 音立てて
    樹木の梢に 家々の屋根に 降りしきつた

    その夜 月は明かつたが 私はひとと
    窓に凭れて語りあつた(その窓からは山の姿が見えた)
    部屋の隅々に 峡谷のやうに 光と
    よくひびく笑ひ声が溢れてゐた

    ――人の心を知ることは……人の心とは……
    私は そのひとが蛾を追ふ手つきを あれは蛾を
    把へようとするのだらうか 何かいぶかしかつた
             ・・・・・・             ♪~
Shousho2016201Shousho2016202Shousho2016201_01  

 

 

 

    ~♪ 晩(おそ)き日の夕べに
   大きな大きなめぐりが用意されてゐるが
   だれにもそれとは気づかれない
      ・・・・
   しるべもなくて来た道に
   道のほとりに なにをならつて
   私らは立ちつくすのであらう

   私らの夢はどこにめぐるのであらう
   ひそかに しかしいたいたしく
   その日も あの日も賢いしづかさに?  ♪~

  大きなめぐりに導かれ、二人の夢は、透明な光の中をひそかに、いたいたしくめぐっていきます。夏の日、追分け村の道端にも萱草の花が咲き乱れていたと思います。
Shousho2016301Shousho2016301_01Shousho2016301_02  

 

 

 

 

   ~♪ 夕やみの淡い色に身を沈めても
    それがこころよさとはもう言はない
    啼いてすぎる小鳥の一日も
    とほい物語と唄を教へるばかり

 少女への思い。やがて訪れる死。寂寥感。
 代表作「のちのおもいに」には、「夢は・・・寂寥の中に 星くずにてらされた道を過ぎ去るであろう」という一節もあります。 
 立原道造が、星くずにてらされた道を去っていって80年近くが過ぎました。
「萱草に寄す」は、青空文庫でも読むことができます。   →こちらから
Shousho2016401_01Shousho2016401Shousho2016402  

 

 

 

   土手の上では、アカツメグサもまだまだよく咲いています。その上には夏雲が大きく盛り上がっています。盛り上がる夏の雲を見ていると、麦わら帽の少年が遠いどこかで、この雲を見上げいるかもしれないという思いが湧いてくるのは、私だけでしょうか。
Shousho2016601_01Shousho2016601Shousho2016602  

 

 

 

   大榎をくぐり抜けると、そこは夏雲の湧く遠い過去の世界? ただの妄想です。
 夏の花、夾竹桃の上にも夏雲。
Shousho2016701_01Shousho2016701_02Shousho2016701  

 

 

 

   ヒメジョオンやアカツメグサなどが咲き乱れる涼しげな小道を、散歩の人がゆきます。ヒメジョオンも拡大するとなかなか美しいです。
Shousho2016802Shousho2016801Shousho2016801_01  

 

 

 

   土手の上から見ると、遙かに青田が広がっています。遠くに比叡山も見えます。
青田では、田んぼの草取り作業中です。たぶん父と息子。
Shousho2016903Shousho2016902Shousho2016901  

 

 

 

   田んぼの脇道を自転車の子供が走ってゆきます。
 近鉄の富野鉄橋付近では、散歩をする父子。夕陽で影が長く伸びています。
 夕陽の逆光の中をアキアカネ(?)が群れています。このトンボはこの後、涼しくなるまで高い山で避暑生活をするらしいです。秋になると体が赤くなって戻ってくるそうです。ちょっと贅沢。   では。また。  「小暑」後半もあります。
Shousho20169101Shousho20169102Shousho20169103  

 

 

|

« 定期診察(113)・貧血進行 | トップページ | 二十四節気「小暑」2016・後半 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/522242/63918140

この記事へのトラックバック一覧です: 二十四節気「小暑」2016:

« 定期診察(113)・貧血進行 | トップページ | 二十四節気「小暑」2016・後半 »