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2016年6月17日 (金)

「福島原発事故と小児甲状腺がん」(本の泉社)

 宗川吉汪・他二人著「福島原発事故と小児甲状腺がん」(本の泉社)を読みましたので、紹介させていただきます。
 チェルノブイリ原発事故では、その後、甲状腺がんが増加したことが知られていますが、福島の原発事故ではどうなっているのでしょうか? この本(小冊子)は、福島では原発事故後、小児甲状腺がんが明らかに増加していることを、簡単な統計的な分析により示したものです。

 福島県では、甲状腺がんの大規模な調査が行われています。
 【先行検査】
   2011年10月から2014年にかけて、19歳未満の県民全体(36万人)を対象にした先行検査が実施されました。
  チェルノブイリの場合、4年後から甲状腺がんが増加したことが知られています。したがって、先行検査の調査を基にすれば、4年後以降の調査で甲状腺がんが増加してくるかどうかを知ることができるわけです。
 【本格検査】
 本格検査は、事故後に生まれた子供を加え、38万人を対象に2014年から開始され、順次検査が進んでいます。
 検査の途中経過は、福島県のホームページで確認することができます。

  この本では、2015年8月の第20回県民健康調査検討委員会に報告された資料に基づいて分析が行われています。
  中高生にも理解できる単純な比例計算だけを使って、先行検査の患者推定数は、10万人あたり90.2人、本格検査では10万人あたり162.6人であることが示されています。
 次に、極めて大雑把な計算ですが、単純な平均値の計算と割り算だけを使って、先行検査の1年当たりのがん発生率を、10万人当たり9.5人、本格検査では54.7人であると計算しています。つまり、年当たりの発生率でみると、先行検査より本格検査の方が6倍高くなっているという結果です。
 この本は、難しい計算ではなく、中高生でも理解できる単純なかけ算、割り算と比例計算だけを使って計算しているところが、なかなかのすぐれものです。

 また、この本では、大雑把な比例計算では満足できない人のために、統計学の簡単な解説もつけています。それを使って、原発事故によって甲状腺がんが、先行検査に比べ本格検査では、95%の信頼率で3.03培に増加したという計算結果を導き出しています。
 統計学に興味のある人は、ぜひ勉強してみてください。

  日本では過去に、水俣病やイタイイタイ病など悲惨な公害事件が引き起こされてきました。そのたびに、御用学者と呼ばれる人たちが企業の責任を擁護して、排出物との関係を否定してきました。そのため、公害が認定されるまでに長い時間を必要とし、その間に被害者は悲惨な生活を強いられることになりました。
 福島原発事故でも県民健康調査検討委員会は、「甲状腺がんの発生に、事故の放射線の影響は考えにくい。」という評価をしています。マスコミも、ほとんど甲状腺がんの問題を報道していません。日本は、同じ間違いを何度くり返したら気が済むのか、という気持ちにさせられます。
 原発再稼働が進められていますが、原発は、いろいろ問題・課題が山積みですね。

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コメント

墓石さん おはようございます。(*^-^*)

蒸し暑く鬱陶しい天気ですね。

こういった物質は見えないから厄介です。御用学者
不正な扱いに用いられる事は私のような素人でも
解りますね。福島も始めは何かの圧力で真相は伝わらな
かったのでは。首相が20年間は原発周辺は帰えれない
と言ったら、袋たたきでしたから。今やもっと重症でしょ。

何回か爆発でしたから、容易くはないでしょうね。
原発は稼働しないで頂きたいものです。

投稿: 輝子 | 2016年6月22日 (水) 08時57分

輝子さん、おはようございます。

雨が降っても蒸し暑く、暮らしにくい気候です。

福島原発事故の影響は、まだまだ収束の気配はないですね。
目に見えない放射能の影響は、計り知れないです。
私も、原発の再稼働には反対です。

投稿: 墓石 | 2016年6月22日 (水) 12時48分

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