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2015年6月 1日 (月)

安保法制論議の核心は?

 国会では、安保法制の議論が本格的に始まりました。日本の戦後のあり方を根本から変える今回の法案は、日本国民の一人一人が真剣に考えるべき問題であり、無関心は許されないと思います。そこで、国会審議で明らかになってきた問題点も取り入れて、私なりに考えを整理してみました。

  【集団的自衛権に賛成する意見】
  『冷戦は終わり、北朝鮮が核開発を進め、中国は尖閣諸島周辺から南シナ海にかけて軍事的な存在感を高めている。中東ではイスラム過激派が勢力を拡大。日本の安全保障を巡る状況は大きく変化した。・・・・・
日米同盟が強化されれば、他国の挑発や冒険主義的な行動を抑止する効果がある。その意味から同盟を強化する今回の安保法制は、世界の平和と安定にプラスになり、翻って日本の安全保障にも貢献するものと期待され、評価できる。』(毎日新聞)
 以上は、社会学者の橋爪大三郎氏の意見です。このような考え方で、集団的自衛権に賛成する人がいると思います。この意見を出発点に考えていきます。

 【現代の戦争とアメリカ】
  植民地を奪い合い、大国と大国が総力戦で戦う戦争は、歴史から姿を消しました。現代の戦争の特徴は、テロや地域覇権国家の侵略、地域紛争などをきっかけに、大国が介入して展開するという形をとっています。この大国とは、アメリカがかなりの部分を占めています。アメリカは、自国の多国籍企業の利益やグローバル市場秩序の維持と安定・拡大のために紛争に介入してきました。例えば、イラク戦争は大量破壊兵器の所有を口実に行われましたが、その後、それはでっち上げだったことが明らかになりました。ベトナム戦争で、アメリカはトンキン湾事件を契機に北ベトナムへの爆撃を開始しました。後に、トンキン湾事件もねつ造であることが明らかとなりました。
  アメリカは、グローバル市場秩序の維持と安定・拡大のために紛争を起こし、介入してきたということは、確認しておく必要があります。

 【対米従属を続ける日本】
 日本は、アメリカが引き起こした過去の戦争に、どのように向き合ってきたのでしょうか? 国会論戦では、共産党の志位議員の質問で、問題点が浮き彫りにされました。
 イラクの大量破壊兵器問題でも、ベトナム戦争のトンキン湾事件でも、政府は、戦争に協力したことへの反省とか、事実をアメリカに確認するとかの責任ある対応をまったく行ってこなかったことが、答弁で明らかになりました。
 また、グレナダ侵攻、リビア爆撃、パナマ侵攻について、国連はアメリカ非難決議を採択しましたが、日本は、すべてについてアメリカを支持し、国連決議に反対・棄権の立場だったことも国会の場で確認されました。日本政府は、異常な対米従属であり、過去の戦争を検証しない無責任な態度であると言えます。
 このような政府が、アメリカと集団的自衛権を行使する危険性について、私たちは十分に知っておくべきだと思います。今回の法改正の中心的問題は、集団的自衛権の行使の問題です。

 【詭弁の連続】
  政府は、「自己保存のための武器使用は武力行使ではない」という、国際法上にない概念・定義を持ち出して、武力行使を正当化しようとしています。
 また、政府は、安全な後方支援が存在し、後方支援は武力行使ではない、という考え方に立っています。しかし、国際法上では、後方支援とは「兵站」のことであり、軍事作戦の重要な構成部分なのです。
  世論調査で、国民の81% が、政府の説明は不十分と感じているという結果が出ました。詭弁を使った説明では、説明が不十分なのではなく、説明することが不可能なのだということです。

  【イラク派遣ですでに犠牲者】
 小泉政権下で、イラクへの人道復興支援、海上給油活動などとして自衛隊が派遣されました。安全な活動とされていたにもかかわらず、帰国後54人が自殺していることを、防衛省人事局長が認めました。
 アメリカでは、アフガン、イラクからの帰還兵200万人のうち、60万人がPTSDに罹り、年間8000人が自殺して大きな社会問題となっています。
  今回の法案では、「非戦闘地域」という規定が実質的にはずされました。また、①国連が統括しない活動への参加、②「駆けつけ警護」などの業務の拡大、③任務遂行のために武器使用基準の拡大などが盛り込まれています。自衛隊員の犠牲は、確実に増えるものと思われます。

  【安保法制論議の核心的問題】
 私たちは、ややこしくて些末な法律論議に惑わされることなく、今回の安保法制の核心を捕らえることが大切だと思います。アメリカとの集団自衛権の行使であること。活動地域が地球規模に広がること。武器使用基準が拡大されること。駆けつけ警護などの戦闘行動にも参加できるようになること。これらは、間違いなく憲法違反で、このことが問題の核心です。安全が確保できるかどうかという問題でも、国会承認が必要か必要でないかの問題でもありません。

 最後に、集団的自衛権について一言。世界史の中で集団的自衛権を行使したのは、ソ連、アメリカ、イギリス、フランスなどの大国だけであり、大国が自国の利益のために戦争を仕掛けたものです。戦争放棄の憲法を持つ日本が、口にすべき言葉ではありません。

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コメント

こんにちは

人間はいつまでたっても愚かですね。

ボブデュラン今日は私も聞きました。
忌野清志郎さんバージョンも好きです。

戦争放棄にこそ世界は賛同すべきだと思うのに…。


投稿: J | 2015年6月 2日 (火) 12時18分

Jさん、コメントありがとうございます。

ボブデュランを聞かれましたか。
忌野清志郎さんバージョンがあるんですか。
私は知りませんでした。
忌野清志郎さんの歌で好きなのは、「僕の先生」ですね。

数日前から、発熱と咳で苦しんでいます。
どのタイミングで病院へ行くか、考えています。

投稿: 墓石 | 2015年6月 2日 (火) 16時44分

こんにちは

「僕の先生」いいですよねー。
墓石先生はどんな先生だったのでしょうか。


発熱と咳 大変ですね。暑い時期の風邪は長引くと厄介です。
病院行きましょう。
でも具合悪いと待ち時間とか、お天気とか考えちゃいますよね。
消化のいいもの食べて、お大事にして下さいね。

投稿: J | 2015年6月 2日 (火) 18時21分

墓石さん こんばんは。(*^_^*)

発熱と咳とは。今の時期は体調崩す方が多いですね。
息子も発熱は無いけど、咳だったり喉の痛みだったり、
鼻水だったりがこの3週間続いていますが、癒されず
困ってます。医者へ行ってますがまだ、、、アレルギー
かもです。この辺が弱くていつも困るのです。
墓石さんも診察受けて下さいね。

安部首相が答弁がなってないですね。誤魔化さなくては
いけないので、説明が出来ないのでしょうね。
絶対世界的にはなって欲しくないです。それは憲法違反。

北朝鮮、中国、どうすれば良いのか?

投稿: 輝子 | 2015年6月 2日 (火) 18時42分

Jさん、どうもありがとうございます。

病院の待ち時間とか、かなり体力を消耗しますね。
夏風邪ではなく、なんか変な病気だと思われるときは
迷わず病院へ行くんですが・・・・。
そのうち熱も下がるだろうという気持ちがあると、
なかなか病院へはいけませんね。
明日には決断します。

私はどんな教師だったのか、知りたい気もしますが、
たぶん評判は悪いと思いますよ。

投稿: 墓石 | 2015年6月 2日 (火) 22時54分

輝子さん、こんばんは。

さっき体温を計ったら、まだ37.8℃ありました。
なかなかしつこい熱です。このままだと、明日は病院へ
行くことになるかも知れないです。
あまり記が進まないですが・・・。

中国ですか。ウーン、難しい問題です。
中国はどんな国家なのか、ずいぶん勉強していますが、
未だに、これだという解答は見つけられていないです。

投稿: 墓石 | 2015年6月 2日 (火) 23時06分

墓石さま こんばんは
御体調はいかがですか?

鬱陶しい梅雨に入りましたが、植物は実を結び、稲は育ち、蛙も喜ぶ季節ですね。

安保関連法制や18歳の選挙権、きな臭い法制が次々と決められていく時代なのですね。
子どもの頃、大人たちは「安保反対!」って叫んでいましたが、「安保」の意味も「ポツダム宣言」の中身も知らずに生きてきた「おバカ」なわたしにはわからないように、下工作や根回しがされているようで、腹が立ちます(`ε´)
今月、生まれて初めて「反対パレード」(これってデモなのかどうかさえもわかりません)に参加するつもりです。せめてこの時代に生きる人間として、「N0」を意思表示しようと思っています。

空や鳥や、川や魚や、木や草花を見ていると、穏やかな心を取り戻せます…平和って、共存することだと思えます。
これからも「いのちの写真」を拝見して、平和な心を養いたいです。
どうかお元気で過ごされますように。snail

投稿: ひかる | 2015年6月 8日 (月) 22時53分

ひかるさん、コメントありがとうございます。

 エーッ、初めての「反対パレード」に参加ですか。
「この時代に生きる人間としての意思表示」
「平和とは共存すること」
 ひかるさんの言葉は、何か心に深く響くものがあります。
ありがとうございます。

ひどい咳と熱に苦しんで、ほとんど家の中で過ごしていました。
したがって、写真散歩にも行けてないです。今日は熱も下がり、
ちょっとましな状態になってきました。
明日は少し、出かけてみようと思っています。 

投稿: 墓石 | 2015年6月 8日 (月) 23時56分

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