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2015年6月19日 (金)

二十四節気「芒種」2015追加

 芒種の時期、鴻ノ巣山ではどんな季節の表情が見られるでしょうか。梅雨晴れの日に、散歩に行ってきました。
  鴻ノ巣山には椎の森があります。椎の巨木の蔭の中に立つと、なぜか思わず見上げたくなります。見上げると、葉の間から木漏れ日が透明な光の言葉で語りかけてくれます。「ここには、喜びも苦しみもない。あるのは、忘却と透明な沈黙だけだ。」と。
 森のルールは均衡です。見上げるとよく分かります。樹がそれぞれの領分を守り、葉を広げています。森は小さな宇宙といったところです。
 木漏れ日の中を散歩の人が行きます。「こんにちは。」と声を掛けられましたが、チグハグな返事しかできなかったので、木漏れ日が笑っています。
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   巨木の登場する歌といえば、シューベルトの「菩提樹」です。ヴィルヘルム・ミュラーの詩による歌曲集「冬の旅」の第五曲です。私は、歌は下手くそなのですが、学生の頃、いつも鼻歌で歌っていました。ただし一人の時に。「郵便馬車」。これも好きですね。
      Der Lindenbaum (菩提樹)
Am Brunnen vor dem Tore,   城門の前の 泉の傍、
Da steht ein Lindenbaum,    そこに一本の菩提樹が立っている。
Ich träumt' in seinem Schatten  私はその木陰で夢を見た
So manchen süßen Traum.   たくさんの甘い夢を。
            ・・・・・・・・
  恋人のいる町を去ってゆく傷ついた若者。あてもない放浪の旅。菩提樹は囁きます。「ここに安らぎがある。」と。それを断ち切って旅立つ若者。近代の日本でも、多くの若者が悩みながらも、夢を抱き、それぞれの故郷を後にしました。夢と苦悩、旅立ち。世界の若者に共通するテーマですね。
 木津川土手の大榎も、大きな蔭を広げています。蔭の中に入るとひんやりとした緊張感があります。大きな樹は、人を引きつける不思議な力を持っています。その蔭の中は、人にとって祈りの空間なのです。
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   今の時期の木津川土手で、もう一つ注目すべきは桑の木です。昔、この辺りで養蚕が行われていた時代の名残りの木です。今の時期、赤や黒の実を付けています。実を付けた桑の木がもたらすのは、遙か遠い故郷の記憶です。
 三木露風作詞、山田耕作作曲の「赤とんぼ」は、次のように歌っています。
  ~♪ 夕焼け小焼けの赤とんぼ おわれてみたのはいつの日か
     山の畑の桑の実を 小かごに摘んだはまぼろしか
     十五で姐(ねえ)やは嫁にいき お里の便りも絶えはてた
     夕焼け小焼けの赤とんぼ とまっているよ竿の先  ♪~
   三木露風は、両親の離婚により祖父の家で、子守奉公の姐やに育てられました。その体験が元になってこの歌が作られました。労働力だったまだ若い娘たち。貧しかった頃の日本。美しい故郷の自然。漂泊感。望郷。今では忘れ去られようとしている遙か遠い時代の歌、私たちの心の奥底に響く歌です。
  先日亡くなった詩人の長田弘氏は、「故郷とは、二度と行くことができない場所、心の中にしかない場所」と語っておられました。
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   今の時期、もう一つ紹介したいのが、城陽市特産寺田芋の畑です。スプリンクラーが稼働し、夕日の頃になると、水が金色に輝いています。
 寺田芋の歴史は江戸時代に遡ります。青木昆陽と同時代の嶋利兵衛という人が、琉球鬼界ケ島より秘密に持ち帰り、昆陽とは別系列でサツマイモの栽培を始めたそうです。その後、寺田芋の栽培は盛んになり、人々の命を繋ぎました。京都町奉行所の与力が寺田村にさつま芋を注文した文書も残されているそうです。しかし、工場や道路建設などの開発の波が押し寄せてきており、この風景はやがて失われるかも知れません。命をつなぐ農業を軽視する国に、明日はないと思います。
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   では、気になる写真を3枚。
 田植機の調子が悪かったのか、植え残った部分に苗を補っています。
  古川の橋の上で小学生が、「蛇がいる」と騒いでいました。巨大すぎる蛇でした。下校の見守りをする保護者の方が、寄り道しないで早く帰りなさいと怒っていました。
 土手の上では、ホトトギスの鳴き声がよく聞こえます。ホオジロも負けずに鳴いていました。
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   お別れの三枚です。
  マントを着たヤマボウシの実。 涼しげなアカツメグサ。
  最後は蓮田のハス。いよいよ芽を伸ばしてきました。ハスの季節もまもなくです。
     では。また。
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コメント

墓石さん こんばんは。(*^_^*)

林の中の木々はお互いの領分を荒らさず枝が伸びるもの
ですね。賢いです。土手の大榎は本当に素晴らしいですね。涼しいでしょう。

桑の実はこんな実なんですか。初めて知りました。
寺田芋畑が夕日を浴び、スプリンクラーの水が夕日に
照らされ、美しい写真です!

子供達が蛇で騒いでましたか。コワイ。私も嫌です。
まぁ、蓮がもうこんなに!うかうかしてられない。
素敵な写真を見せて頂きました。愚図ついた天気ですね。
ちょっと疲れた今日です。忙しくて。

投稿: 輝子 | 2015年6月20日 (土) 19時50分

輝子さん、こんばんは。

天気がいまいちすっきりしないですね。暑いのも嫌ですが。

子供たちは、「マムシだ!」といって騒いでいましたが、
マムシではなく、明らかにアオダイショウでした。
私は、マムシによく遭遇します。木津土手で二回見ました。
宇治田原の茶畑でも出会いました。こればかりは好きになれませんね。

輝子さんは、琵琶湖方面に行かれたようですね。
ブログ拝見しております。

投稿: 墓石 | 2015年6月20日 (土) 20時33分

墓石さま こんにちは。

鴻ノ巣山は素敵ですね。ありがとうございます。
学生時代、生物の先生から「古来からの日本の森は、しい・たぶ・かし(椎・﨓?・樫)とその下に生える潅木で成り立っている。」と教えられた記憶があります。
今年もどんぐりが芽を出して、木漏れ日に見守られて静かにいのちが引き継がれているのでしょうね。鴻ノ巣山の椎の森から、静寂の中にも森の小人たちの歌も聞こえてくるようです♪

それにしてもドイツ語で菩提樹を歌われるなんてすごいですね!わたしが学校で習った歌詞は、そんなにロマンチックな詩ではなかったような…

へびに夢中の小学生が、とってもかわいらしいです。子ども時代は毎日いろんな驚きや発見があって、今から思えば夢のようでした。大人になってからは、別の意味で毎日驚かされます。TPPが医療保障にまで関わって来るとは!病人は製薬会社の「くいもの」にされ、貧乏人が病気になっても国は「知~らない」ってことなのでしょうか。この国のまともな決断を祈りたいです(-ε-)

不順な季節柄、どうかお元気で過ごされますようにclover

投稿: ひかる | 2015年6月22日 (月) 16時06分

ひかるさん、コメントありがとうございます。

森の遷移の話、私も習いました。「極相林」という話ですね。
ほとんどの人が、大人になると忘れてしまうような内容ですね。
ひかるさんは、生物が得意だったのですね。
それとも、生物の先生に特別な気持ちを持っていたとか・・・。
今年は、体調がイマイチで、芽生えや苔やキノコの撮影はできてないです。

最近は、家に引きこもることが多くなりました。
これではいけないと思いつつ、なかなか体は自由に動いてくれないです。
ひかるさんも、健康には気をつけてくださいね。


投稿: 墓石 | 2015年6月22日 (月) 18時22分

墓石さま おはようございます。

「生物」はぜんぜん得意なんかではなくて、「ああ、極相林っていうんだ!」って知ったくらいです(^-^;
でも、先生が熱~く「日本の森は…」て語っていたことだけは覚えています。それ以来、自然な森に惹かれています。先生ではなくて…(笑)

ご体調に合わせて、無理をしないでくださいね。森や畑が呼んでいたとしても…。
ただでさえ、安保法制でやきもきすると体力を消耗しますからannoy

投稿: ひかる | 2015年6月24日 (水) 10時29分

ひかるさん、おはようございます。

ハハハ、そうでしたか。自然の森に惹かれ派ですね。
「日本の森は…」と熱く語れる教師というのもうらやましいです。
私などは、植物の名前とか軽視していました。
つまらないことを憶えるな、辞典で調べれば分かる、などと
冷たく冷めて教えていました。
今となっては、反省しきりです。

国会会期が大幅延長されて、これもなかなかストレスになりそうです。

投稿: 墓石 | 2015年6月24日 (水) 11時40分

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