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2015年5月20日 (水)

鳥畑与一著「カジノ幻想」感想

 Kajino
  鳥畑与一著「カジノ幻想」(ベスト新書)~「日本経済が成長する」という嘘~を読みましたので紹介させていただきます。島畑氏の専門は国際金融論で、カジノのことも研究しておられるようです。
 いつものように、私流に整理して、かなり大胆に内容を超要約してみます。

【そもそもカジノとは】
   カジノとは、バクチのことです。お客同士がお金の奪い合いをし、カジノ運営会社が、その掛け金の一部をテラ銭としてピンハネするものです。そうした経済活動は、財産の移動が起こっているだけで、物づくりとは違い、新しい価値を生み出しません。株の投機的取引と同じ、ゼロサムゲームです。儲ける人があれば、必ず同じ額だけ損をする人があるだけです。
 大きくみれば、カジノ運営会社が、カジノのお客から一定の割合で財産を収奪する仕組みです。

【統合型リゾートというビジネスモデル】
 カジノは、お客さえ確保すれば、安定して高収益が上げられます。しかし、カジノ単体では、安定した集客力が見込めません。そこで考えられたのが、統合型リゾートというビジネスモデルです。
 「カジノを含む統合型リゾート」は、多数のリゾート施設が集まり、その中に、たまたまカジノもあるという施設ではありません。カジノから生み出される高収益の一部を周囲の商業施設に還元して集客し、さらにカジノへのお客を増やすというものなのです。
 カジノから上がる高収益の一部を使って、施設内で安い価格の商品やサービス、エンターテインメントなどを提供して集客し、カジノ利用者には、さらに安い価格で利用できる特典を与えカジノへ誘導します。このような仕組みをコンプサービスといいいます。このコンプサービスを使って、集客力を増大させ、カジノの収益を極大化していくというビジネスモデルなのです。
  「カジノを含む統合型リゾート」は、カジノの高収益を成長エンジンとして、施設全体を運営するもので、単なるリゾートの集合体ではないのです。

【地域経済の破壊】 
  カジノを誘致して地域経済を発展させることはできません。なぜなら、カジノ統合型リゾートでは、コンプサービスにより、施設内では安い商品やサービスが提供されますが、施設外の商業施設は競争力を失い廃業していくことになり、地域は荒廃していくことになります。アメリカのカジノを視察した著者によれば、施設の外では、商店街が荒廃しているような例がいくらでも見られると述べています。
 カジノでうまれるギャンブル依存症患者のケアや治安維持に掛かる社会的コストは、地域社会が負担し、カジノの利益は東京本社の運営会社へ、外資であれば国外へ流出というのでは、地域の発展にはつながりません。
 また、カジノ施設が生み出す雇用は、不安定な非正規労働が担うことになることが予想されます。

【ギャンブル依存症患者の問題】
 ギャンブル依存症は、心を病んだ一部の人の問題という捉え方は間違っています。また、対策をすれば簡単に減らせるという考え方も間違いです。カジノ施設が安定に高収益を上げるためには、何回も訪れるリピーターが必要です。依存症患者の問題は、カジノにつきまとう本質的な問題です。カジノは、依存症患者の存在なしには成立し得ないビジネスなのです。
 秋田県で企画されているカジノでは、年間来訪者が1350万人、経済効果が5152億円が想定されています。しかし、この数字を満たすためには、秋田県の成人は一年で6回、東北の各県の成人は一年に1回以上、東北以外からの観光客は、交通インフラ搭乗率100%で、半数がカジノ施設に宿泊しなければなりません。これは相当無理な想定です。大量の依存症患者が必要な数字です。
 日本には、すでにパチンコ、競馬などのギャンブル依存症患者が100万人いるといわれています。依存症患者の支援にかかる社会的コストは、かなり大きなものがあります。

【マカオ、シンガポールの成功?】
 マカオやシンガポールのカジノは、海外からのギャンブラーを取り込むことに成功しています。外国人なら依存症にかかるコストはゼロで、外貨が稼げます。
 しかし、マカオやシンガポールのカジノは、収益のかなりの部分を中国本土の富裕層に依存しています。中国政府は規制を強めて、一回の持ち出せる資金を5000ドルに制限しています。にもかかわらず、中国の富裕層が大金をカジノにつぎ込めるのは、ジャンケット・システムがあるからです。ジャンケットとは、マネーロンダリングを行い資金を海外に持ち出す仲介業者のことです。日本の法律では(世界的にも)、これは違法です。ジャンケットが公認されていない日本では、中国富裕層が大金を掛けるということは難しいのです。マカオやシンガポールのビジネスモデルは、日本には当てはまりません。
 また、マカオ、シンガポールに加え、フィリピン、マレーシアでもカジノが開設され、韓国でも冬季五輪を控えてカジノの建設が始まっています。アジアのカジノ市場は、飽和状態になりつつあります。
 以上のように、日本のカジノは厳しい国際競争の中で、日本国内のギャンブラーに頼らざるを得ないのです。

 「カジノ統合型リゾートで地域振興!  観光立国日本の起爆剤! アべノミクスの成長戦略の一つ! カジノは健全な大人の遊び!」・・・なんだか調子がよさそうですね。
 しかし、次のように言い換えてみるとそのバカらしさがよく分かります。
「バクチ場作って地域振興! 日本観光はバクチ場から! バクチ場作って経済成長!   国民よバクチを楽しめ、依存症になるのは自己責任で!」
      ちょっと言い過ぎましたか。すみません。   では。 また。

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コメント

墓石さま こんばんは。
ご体調はいかがですか?
難しい本を次々と読破されているので、大丈夫ですよね(*^-^)

しかし、おそろしいですね~。知りませんでした。大阪はともかく、秋田県でカジノが計画されているなんて、悲しすぎます。大阪ならいいっていうわけではありませんが。
知らず知らずのうちに、わたしたちが「食いもの」にされている感じ…「知らなかった」ではすまされませんね。

一次産業が潰されて働き場もない人たちは、どうやって生きていけばいいのでしょうね…
この国が、若者も老人も夢を持てるマトモな国になって欲しいです。。。

どうかお元気でお過ごしください。camera

投稿: ひかる | 2015年5月22日 (金) 20時38分

ひかるさん、コメントありがとうございます。

体調は、足の痺れが一番堪えますね。
次は貧血かな。今日、自転車で山側へ散歩に行ったところ、息が切れて、
ちょっと失敗でした。明日からは、木津土手にします。

カジノは、東京、大阪、沖縄、秋田が熱心のようですよ。
この国の進路はどうなるのか心配です。

投稿: 墓石 | 2015年5月22日 (金) 22時03分

墓石さん おはようございます。(*^_^*)

ギャンブル依存症。よくおられますね。
競馬、競艇、麻雀もそうでしょ。
カジノを橋下さんが大阪へ、と言われたでしょ。
唯でさえ風紀の悪い大阪で、何を言い出すやら!
と呆れましたが。

カジノはもっと大金を出して、スリルを楽しむ
のでしょうか。そのスリルが病みつきに。
止められない、止まらない。全ての持ち金、または
借金まで!
お金の欲も多いにあって、欲は止まらない。難儀です。
こんな事、経済効果はまずないでしょう。

男性が多いですね。男性は突進的?積極的な質を
お持ちの様では?

投稿: 輝子 | 2015年5月23日 (土) 08時06分

輝子さん、コメントありがとうございます。

何でも金儲けのタネにする人がいるので、困ったことですね。
いったん依存症になると、自分の力ではなかなか抜け出せないようです。
確かに、ギャンブル好きは、どうも男性の方が多そうですね。

わたしは、父はから「バクチ打ちと金貸しにはなるな!」と
言われて育ったので、いまだに守っています。

投稿: 墓石 | 2015年5月23日 (土) 08時49分

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