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2015年3月15日 (日)

岡田幹治著「ミツバチ大量死は警告する」

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  フリージャーナリストの岡田幹治著、「ミツバチ大量死は警告する」を読みましたので、紹介させていただきます。岡田幹治氏は、食の安全や環境問題、日本経済を主なテーマに取材・執筆活動を行っているフリージャーナリストです。

 私たちの生活は、人工的な化学物質なしには成り立たなくなっています。合成繊維、プラスチックをはじめ、農薬、医薬品、食品添加物、住宅建材、化粧品など、挙げればきりがないくらいです。これらにより、私たちの生活は便利で快適なものになりました。しかし、反面、取り扱いを誤れば、大気や水を汚染し、生物の生存にダメージを与え、人の健康を蝕み、悲惨な公害事件や薬害事件を引き起こします。
 この本は、蜜蜂の大量死である「蜂群崩壊」という事例を出発点に、ネオニコチノイド系農薬の危険性を指摘し、農薬や化学物質をめぐる政・官・業が癒着した利益集団(ムラ)がふりまく「安全神話」を告発しています。それは、「原発安全神話」と全く同じ構図であると・・・。

 第一章では、2009年に長崎県で起きた蜜蜂大量死(蜂群崩壊)の実態が取り上げられます。蜜蜂は、イチゴやメロンなどの花粉交配用として、現代農業には欠かせない生物です。同じことを人の手でやろうとすると、莫大な労力(費用)を必要とします。その蜂が、世界各地で蜂群崩壊を起こしているのです。日本の蜂群は、この30年間で半減したそうです。
  第二章では、先進工業国に共通する蜂群崩壊の要因について述べられます。蜜源・花粉源の減少、蜂蜜輸入の増加、ハウス栽培の隆盛、寄生虫や病気の蔓延、遺伝的多様性の欠如、栄養不足、新型農薬などが紹介されます。近年では新型農薬 (ネオニコチノイド系農薬)の影響が大きくなっていると指摘します。
 第三章では、アメリカでの実態と対策が述べられます。アメリカでは、粘り強い運動で、ネオニコチノイド系農薬の規制が一歩前進しました。
 第四章では、EU諸国の凄まじい実態と取り組みが紹介されます。EU委員会は、2013年より、疑わしきは使用せずの予防原則に基づき、ネオニコチノイド系農薬の規制に踏み切りました。
  第五章では、ネオニコチノイド系農薬の危険性について述べられます。この農薬は、強い神経毒性を持っており、浸透性が強く洗っても落ちず、残留性が強いことなど。
 第六章では、農薬などの「一日摂取許容量(ADI)」が、どのように決定されているのか、そして、「農薬安全神話」が、農薬利権に群がる人々により、どのように作られているかが述べられます。日本は、農薬の使用基準が甘く世界の農薬使用大国であるといいます。
 第七章では、赤トンボが消えた日本の田んぼの危機、子どものADHDなどの発達障害、シックハウス問題など、化学物質が原因とされる環境問題全体に言及しています。

 第八章では、環境化学物質のヒトへの影響に焦点を当て、いま子どもたちに異変が急増していることが述べられます。ADHDなどの発達障害。喘息。ダウン症、水頭症、尿道下裂などの遺伝子異常など。
  第九章では、化学物質過敏症、より複雑で深刻化するシックハウス問題、印刷会社で発生した胆管ガン問題、農薬の空中散布問題などが取り上げられます。
 第十章(最終章)では、「化学物質づけ社会」から脱出するための政策や暮らし方について述べられています。農薬規制の強化、農薬を使わない農業の推進、化学物質に対する包括的な法体系の整備、「疑わしきは使用せず」の予防原則の確立などです。
 私たち自身の生活も根本から見直す必要のあることが訴えられています。
  著者は、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』を現代の日本で再構築することを目指しています。

   最近の情勢です。マスコミでの報道は全くありませんが、厚生労働省は、ネオニコチノイド系農薬「クロチアニジン」の食品中の残留基準緩和について、先月の2月21日まで、国民から意見募集(パブリックコメント)を行っていました。基準緩和案では、例えばホーレン草では、従来の13倍(40ppm)まで許容するようです。これは、EUと比べると6倍も高い値のようです。形式ばかりのパブリックコメント。何かいつも、問題の構図は同じですね。
 レイチェル・カーソンの言うとおり、化学物質と放射能の問題は、人類の長期的生存にかかわる問題です。注目が必要です。      では。また。

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コメント

墓石さん こんばんは。(*^_^*)

農薬。。。コワイ!野菜に何が掛かってるのか解らない
ですよね。トマトに多くの農薬を散布されてるのを見て
ますから、本当は自分で作って食べたいです。

ほうれん草は凄く食べるのですよ。夫の病の為も、
私も糖尿予備軍かもで、医者に勧められてるのですよ。
それが農薬緩和?嫌ですね。

最近、やっと浄水器を付けました。これ位じゃね。
ゴミの分け方もプラが多くて、燃えないゴミは殆ど
ないですね。食品にプラの袋が多く、これは
いいのかしら?解らん事が多すぎて。
儲けの為に上層部で何をやってるやら知るよしもあり
ません。

投稿: 輝子 | 2015年3月19日 (木) 18時48分

輝子さん、こんばんは。

農薬のことは、大変気になりますね。
お茶に大量の農薬を散布しているのをみます。
たぶんネオニコ系の農薬だと思います。
どれぐらい残留しているのか、調べていますがよい資料が見つからないです。
野菜ジュースも気になりますが、これもよく分からないです。

今日、高尾に行ってきましたが、梅は咲き始めでした。
今年、梅は10日くらい遅れているようです。
さんしゅゆは満開でした。

投稿: 墓石 | 2015年3月19日 (木) 20時30分

アメリカ発の問題が世界中の人々を不幸にして、日本がこれまたアメリカの子分で、アメリカに文句が言えない。

なんでもグローバルといえば聞こえはいいが、アメリカ主義の押し付けですから、農薬は直接口に入れるから深刻です。

わたしは以前から、家庭で簡単に検査できる、農薬探知薬があればいいなぁと。トマトは皮付きでたべますから、心配です。

投稿: たそがれ裕次郎 | 2015年3月20日 (金) 15時32分

たそがれさん、こんばんは。

農薬探知薬ですか。あればいいですね。
農薬問題も気にし出すときりがないですね。
何が危ないかも、資料がないので全く分からないです。
遺伝子組み換えも、ひょっとすると人類の生存に関係するかもですね。
遺伝子組み換え作物とその作物に合う農薬をセットにして
世界に販売するアメリカの食料戦略はすごいですね。

投稿: 墓石 | 2015年3月20日 (金) 22時28分

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