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2015年2月17日 (火)

岡田知弘講演会:「自治体消滅論」を越えて

0003jititaib 先日、「『人口減少時代』のまちづくりを考える市民の集い」という催しがあり、自治体問題研究所理事長の岡田知弘氏(京大教授)が、<「自治体消滅論」を越えて>というテーマで講演されました。私の住む城陽市も消滅可能性自治体に名前が入っているので、以前から気になっていました。これは良い機会と思い、講演会に参加してきました。その内容を超要約してみます。内容が多岐にわたっていたので、まとめるのはちょっと大変です。部分的なまとめになり、ちょっと講演者に失礼になるかもです。

 講演内容の要約に入る前に、「自治体消滅論」について解説しておきます。
  【自治体消滅論とは?】
 「日本創成会議」(座長・増田寛也元総務大臣)が、人口が今のまま推移したとすると、「若い女性の半数以上が減少する」、「人口規模が1万人以下」という2つの条件を満たした自治体は、人口減少が止まらず、2040年までに消滅の可能性があるという報告をまとめました。世に言うところの「増田レポート」です。896の「消滅可能自治体」の実名も公表され、そのうちの523自治体は、この二つの条件を満たすため、「消滅自治体」とされました。
 この事態に対応するための方策も提案されました。各地方ごとに、地域拠点都市を決め、そこに重点的に人と行政投資を集中する政策です。「選択と集中」です。地域拠点都市を作ることにより、その地域の人口流出を食い止め、「人口流失ダム」にしようという構想です。将来的には、全国で30万人規模の基礎自治体に整理・集約し、最終、全国を300自治体程度にしていくというものです。

 【増田レポートへの批判】
  岡田氏の講演は、今の政治状況や地方自治の本質といったスケールの大きな内容でしたが、まず最初に、増田レポートへの批判の部分に焦点を絞ってみます。
 ★若年女性人口が「半減」することをもって、「消滅可能性自治体」と呼ぶことの根拠はきわめて曖昧で、あまりにも非科学的で、政治的であると言える。
 ★推計方法に問題がある。例えば、若い女性の動きが全国的に同一の傾向で動くことを想定し、東京へのトレンドが、最も高い水準で続くことを仮定している。
 ★3.11後に起こっている、「田園回帰」といった人口移動の新しい動きが考慮されていない。
 ★自治体での主体的努力による新しい傾向変化が考慮されていない。産業政策が地元密着で、自前の福祉政策を充実させて、人口維持・増加を果たしている自治体が出現してきている。 
 ★人口減少の本当の原因に対し、まともな検討がなされていない。人口減少の一番の原因は、小泉改革以降に続く規制緩和により、非正規雇用の増大、様々の新自由主義的な改革が原因である。20代、30代の男性では、年収が300万円未満の層では、既婚率は10%を切る状態となっている。(300万円以上は20%台)非正規雇用者の30代既婚率も、10%を切る状況である。
 ★「地域拠点都市」は「人口流失のダム」にはなり得ない。それは、今までに合併してできた広域合併都市をみればわかる。全国の広域合併都市では、周辺部の町村で行政権限が奪われたことにより衰退が始まり、人口が減少し、それが中心部にも及んできて、全体として人口が減少する傾向が共通してみられる。
  ★全国で、30万人以上が住む都市の総面積は11%である。ここにインフラ投資を集中すれば、残りの90%の国土はどうなるのか。荒れ放題の災害に弱い国土になってしまう可能性がある。広島県の大雨災害をみても、すでに現実のものとなってきている。
  ★集落は、農山漁村における生活の基盤であると同時に、用水や山・海の管理など産業の基盤であり、国土保全の基礎単位である。ここへの行政サービスを削減することは、集落崩壊へとつながり、国土は荒廃していく。

 【増田レポートが向かう先】
  「増田レポート」「自治体消滅論」は、どこへ国民を導こうとしているのでしょうか。次に、この点をみていきます。
 ★増田レポートは、「人口の減少は避けられない。自治体の存続を諦めなさい。」という一種のショックドクトリンである。
 ★自治体を整理し、全国を30万人規模の300自治体にしていく、これはかねてより経団連などの財界が主張している「道州制」そのものである。
 ★「道州制」を導入する狙いについて、経団連の会長だった御手洗氏は、次のように述べている。「県を廃止し、地方整備局や農政局などを廃止することにより、10兆円の資金が生まれる。これで空港、港湾、高速道路などのインフラ整備を行えば、多国籍企業を誘致することができる。」つまり、大型公共投資の財源作りをしようとするものである。

 【地域を豊かにするとは?】
 ★企業の進出や重要プロジェクト誘致が「活性化」ではない。新産業都市、テクノポリス、リゾート開発など、かっての開発で持続的に発展した地域は一つもない。利益のみを追求する資本は、利益が出なくなればあっという間に撤退する。シャープのテレビ工場は、2年と持たなかった。優良自治体だった浜松市も輸出企業が撤退し、広域合併も影響して、人口減少ワースト市に転落した。
 ★大型公共事業を受注するのは大手ゼネコンであり、利益は東京本社に集中し、借金だけが地方自治体と住民に残される。
 ★自治体に住む住民の生活の質が維持、向上することが「地域が豊かになる」ことである。地域からものをみ、人間生活の再生産という根本的視点が大切である。
 ★地域経済や地域社会を担っているのは、中小企業や農家、協同組合である。全国の事業所の99%、雇用の70%を占めている。多国籍企業に依存せず、地域内経済循環を太くしていくことが必要である。・・・・・

  フッー! 疲れてきました。2時間の講演をまとめるのは大変ですね。経済特区の話も飛ばしてしまいました。あと、安倍政権の進める政策との関係も残っています。全体として、まだ、半分もいってないですが、ここまでにしておきます。申し訳ない。
 興味のある方は、岡田知弘著:「自治体消滅論」を越えて(自治体研究社)を参照してください。   では。また。

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コメント

墓石さん こんばんは。(*^_^*)

難しい問題ですね。我が能力では解釈も出来ない
情けなさですが、兎に角20代30代の青年達が
気の毒ですよ。結婚も出来ない、希望もないでは!

地方を活性化して頂きたい。ある山奥へ行った経験が
あるのですが、70歳以上の方ばかり。悲しいですね。

自冶体消滅して、荒れ放題。最も嫌です。今でも災害
に弱いのに尚更?そんなに経済優先が大事でしょうか?

解らないのにカキコしてごめんなさい。m(__)m

投稿: 輝子 | 2015年2月17日 (火) 19時19分

輝子さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

なんだかへんな世の中になってきましたね。
残業代0法案も出てきましたね。今は、年収1000万円以上の
条件が付いていますが、そのうちだんだん下がってくるのが
目に見えていますね。地産地消の穏やかな経済を希望します。
経済的利益が人間よりも優先されているので困ったことです。

輝子さんは、琵琶湖へ行かれたようですね。
私は、久しく琵琶湖に行けてないです。

投稿: 墓石 | 2015年2月17日 (火) 23時42分

岡田さんが言われるように、「小泉・竹中改革」の罪は重いですね。韓国の大統領なら、退任後実刑ものですよ。
これだけ若者が正社員になれなくては、家庭を持つどころか自分の生活さえ満足にできない。子育てなんか論外です。

金儲けは手段であって、目的は「幸せな生活」であるはずです。政府が金儲け集団(経団連)の用心棒では、庶民は浮かばれません。
私たちが結婚したころは、三種の神器といわれた、白色家電があった時代ですから、それはそれは貧乏な新婚生活でした。
しかし、それからは先の大戦で亡くなった人達の、タマシイが乗り移ったような、戦後の大復興時代でした。
自民党政権もそれなりに「富の再分配」を考えた政策で、「ジャパン アズ ナンバーワン」と言われるまでになったのです。
しかし今の安倍自民党は、「戦争の出来る国」へ、「格差のある国」へと、小泉以上の悪政をしいています。
こんな日本の社会状況を見ていては、ノンビリあの世へも行けない心境です。

申し遅れましたが、私は名古屋の とっくに黄昏たジジイ で、反河村市長派の急先鋒です。あと数年で平均寿命に達します。

投稿: たそがれ裕次郎 | 2015年2月27日 (金) 09時43分

たそがれさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

安倍政権は、少し暴走気味ですね。同感です。

たそがれさんは、名古屋の方でしたか。私は名古屋で
学生生活を送りましたので、懐かしいです。
学校の裏手から、東山動物園まで、東山一万歩コースというのがあり、
毎日、散歩していました。

投稿: 墓石 | 2015年2月27日 (金) 11時59分

墓石さんは、名大ですか?あなたの撮った写真を見ると、関西のお住まいのように感じられます。私の学生生活は京都です。
私の住まいは千種区ですから、名大も東山も区内です。桜がキレイな公園です。また来て下さい。  ではオヤスミなさい。

投稿: たそがれ裕次郎 | 2015年2月27日 (金) 21時42分

たそがれさん、そうでしたか。
京都で学生生活を送られましたか。
まあ、何かの縁ですね。 では。

投稿: 墓石 | 2015年2月27日 (金) 22時19分

先日、『「議会制民主主義」は民主主義ではないだろう』と言いましたが、何のこと?と思われるでしょう。もう少し詳しく述べますと、「民主主義」=「主権在民」です。

国民に主権がありますが、国民は選挙で代理人(議員)を選ぶだけで、主権の行使(国の方針を決める)はタダの一度もありません。

「議会制民主主義」は選挙権があるだけで、選んだ代理人は国民(主権者)の意思とは違うことをやる場合が多い。

「議会制民主主義」=「間接民主主義」ですから、古代ギリシャの円形広場ではないですが、少しは「直接制」=「国民投票」を取り入れてもいいのでは、と感じます。皆さんのご意見をお聞きしたいと思います。

投稿: たそがれ裕次郎 | 2015年3月 1日 (日) 23時00分

 日本の議会制民主主義が危機に瀕していることは確かです。金にまみれた議員や得票率と議席占有率が離れすぎてしまう小選挙区選の矛盾など問題は山積みです。
 代議制か国民投票による直接民主制のどちらが民主的かという一般的な問題設定では解答は無しです。
 直接民主制は、ポピュリズムに支配される危険もあります。例えば、憲法改正は国民投票によります。ある意味直接民主主義です。しかし、国民投票の結果、主権在民の制限、立憲主義の否定、人権の制限、平和的生存権が否定される憲法が採択される危険が、現実のものとなってきています。制度は大事ですが、制度のみによって民主主義が保障されるわけではないからです。教育の権力からの自立、自由で公正な報道、情報公開などが保障されなければ、選挙制度も歪んだものになっていきます。
 民主主義は、国民主権、人権、立憲主義といった考え方と結びつき。多様で豊かな内容を持ってきました。民主制度の考え方としても、多様な内容があります。三権分立、普通選挙、公教育の独立性、地方自治制度、報道の自立性、軍の文民統制・・・など挙げるときりがないくらいです。今、日本はこれらの制度の実質が急速に崩れつつあります。秘密保護法も運用が始まりました。日本は今、民主主義の全面的危機に直面していると言えます。

投稿: 墓石 | 2015年3月 2日 (月) 13時18分

仰るとおり、直接投票制は「衆愚政治」「ポピュリストによる煽動」の危険性があります。しかし、12年衆議員選の自民党絶対得票率は僅か15.99%です。14年度はそれ以下でしょう。これで過去10年・20年懸案であった重要法案を次々に決議できたことは、もはや独裁政権の様子が見られます。これは異常事態です。集団的自衛権、マイナンバー、秘密保護法、消費増税・法人税減税など、国民に大きなリスクを伴うものばかりです。憲法41条を超えた何かをしないと、現在の「議会制民主主義」では、主権者が主権の行使をすることはできないと考えます。
だからといって、「直接民主主義」で解決できるほど、簡単な問題ではないことも承知しています。


投稿: たそがれ裕次郎 | 2015年3月 4日 (水) 22時23分

たそがれさん、コメントありがとうございます。

何か嫌な時代になってきたものですね。
ほんとに歴史の岐路に立っている気がします。
この先が心配です。

投稿: 墓石 | 2015年3月 4日 (水) 22時48分

4年前の今日午後2時46分、東日本に史上最大の地震が発生、未曾有の被害が出ました。今朝のTVは東北地方の復興のニュースが流れています。

各局とも復興の遅れを報じていますが、あの義援金や復興予算は十分使われているのか、という疑問が湧いてきます。

安倍さんは、口では全力で復興に取り組んでいるというが、そうでしょうか。私の目には、「他国籍軍後方支援で情報収集解禁へ」とか「預貯金口座にマイナンバーも改正法案国会へ提出」とかいう活字の方が気になります。

被災者の救済より、海外派兵の性急な法案提出や、監視社会化する方が先に見えるのは、わたしだけでしょうか。

「マイナンバー制度」のうたい文句は、徴税のためであったはずである。それなら、まず第一に「証券取引」に使うべきであろう。不労所得で太ったブタから、油をシッカリ搾り取るのは大賛成だ。

脱税に役立つならと思わせて国民を騙したが、やはり監視国家を作るのが目的だったと、早々にバレタ。
何処まで行っても、政治家は金持ちの味方か?あ~やだやだ。

投稿: たそがれ裕次郎 | 2015年3月11日 (水) 09時37分

たそがれさん、おはようございます。

昨日、NHKのニュースが、安倍総理の復興を進めるという演説を長々と流していました。
中身が無いものを、こうも持ち上げていいものかと思いました。
復興が進まない理由をしっかりと検証して欲しいものですね。

今の政治。たしかに、安倍政権は暴走してますね。危険ですね。

投稿: 墓石 | 2015年3月11日 (水) 10時12分

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