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2014年1月31日 (金)

本山美彦著「売られ続ける日本、買い漁るアメリカ」

Uraretuzuker  本山美彦著「売られ続ける日本、買い漁るアメリカ」(ビジネス社)を読みました。お薦めの感想です。この本、2006年発行で少し古いですが、むしろ、今だからこそ光を放っているように思います。本山美彦氏は、京大大学院経済研究科教授です。

 著者のはじめの言葉です。
 「・・・米国からの強力な圧力に押された政治家が、米国寄りの法律を作る。この法律の作成過程で、権力の周囲に蠢く取り巻きが暗躍する。そうしたトップ層の導きで「民」が甘い蜜を吸いに群がり、蜜を既得権益へと変える。そして「真の民」=市民が、被害者となる。本書は、規制緩和という「新たな規制者=新たな既得権益者」の暗躍ぶりを告発することを目指している。」

 現在の日本は、新自由主義の嵐が吹き荒れています。「構造改革」、「規制緩和」、「官から民へ・民間活力の導入」、「経済成長戦略」、「経済特区構想」など、新自由主義のスローガンを聞かない日はありません。
 民営化の進展が、様々の弊害を生んでいます。例えば、建築検査業務が民間に開放され、競争原理が導入されました。その結果、構造計算をごまかし、強度が半分しかない欠陥マンションが、次々と造られました。また、金融の規制緩和により、AIJ投資顧問会社のようなインチキ会社が、年金基金を食いつぶす事件も起こりました。日本人のモラルが崩壊してきているとさえ思えてきます。
 さらに、労働法の改正により、全労働者に対する非正規労働者の割合は、4割に迫ってきました。日本人の働き方までが大きく崩壊し、格差社会が広がってきています。
 小泉構造改革により、急速に「規制緩和・民営化」が進められました。そして今、構造改革・規制緩和の「アベノミクス第3の矢」が進められています。これらの新自由主義的な構造改革・規制緩和の背後には、いったい何があるのでしょうか? そんな疑問に、この本は、一つの回答を与えてくれています。

 著者は、この本の中で、構造改革・規制緩和の背後にあるものの正体を明らかにしています。小泉政権による「構造改革」の大半は,「年次改革要望書」、「日米投資イニシアティブ」などの「5つの報告書」によって、アメリカにあらかじめ約束させられているものだったこと(これは今では常識となっていることですが)。日本の規制緩和路線は、アメリカの政府・シンクタンクが露骨に要求してきた、日本を「安値」で買うための日本改造計画に他ならないことを明らかにしています。
 また、著者は、「第4章:日本の医療市場が飲み込まれる」では、次は日本の医療制度がが危ないと警告しています。「医療特区」、「混合診療解禁」などです。

 アメリカがしつこく要求してきた日本改造計画は、今、TPPという形で全面的に展開されようとしています。TPP交渉の本質を考える上でも、この本、お薦めします。

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