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2013年12月24日 (火)

高畑勲監督「かぐや姫の物語」

 先日、高畑勲監督、映画「かぐや姫の物語」を見てきました。日本人なら誰でも知っているかぐや姫の物語が、どのように語られるのか楽しみでした。水彩調の画面、よく練られたストーリー。現代にも通じるメッセージ。期待していた以上の出来映えでした。お薦めの感想です。

 竹の中から生まれた少女は、山深い木地師集落の子供たちと共に、自然の中で天真爛漫な少女時代を過ごします。  山里に子供たちの童歌が響きます。

Kaguya_2  ~♪まわれ まわれ まわれよ 水車まわれ
     まわって お日さん 連れてこい
     鳥 虫 けもの 草 木 花
     春 夏 秋 冬 呼んでこい♪~
 
少女はなぜか、誰からも習ったことのないこの童歌を歌います。しかも、もの悲しい調子で・・・。この少女は、なぜ、この歌を知っているのか? いったいどこから来たのか? 大きな謎が提示され、謎を孕んだまま物語は展開します。私たちはしだいに謎解きの物語の中へ引き込まれていきます。

 一人の人間、一人の女性としての、少女の成長が描かれていきます。年上の少年への淡い恋心。娘の幸せを願い、高貴な身分の人に嫁がせようとする父親。幸せとは何か、悩む少女。やがて、少女は、かぐや姫と名付けられ、魅力ある成人女性に成長します。男たちから選ばれる存在としての女性、そんな女性のあり方に激しく苦悩するかぐや姫。女性にとって幸せとは何か、苦悩は続きます。
 汚れた人間社会の醜さを知ったかぐや姫。父の考える幸せと自分の求める幸せとの葛藤。どう生きればよいのか。何のために生きるのか。ついに、かぐや姫は極限まで追いつめられ、月の世界に救いを求めます。その瞬間、かぐや姫は自らに与えられたさだめを思い出すのです。自分は、なぜ月の世界からこの地に下ろされたのか、そして再び月に帰らなければならない契りがあることを。
 月に帰らねばならない運命を知った今になって、かぐや姫は、自らの生のすべてを悟ります。なぜ山の暮らしがあんなにも懐かしかったのか。なぜ見知らぬこの地の歌を知っていたのか。いのちの意味について。
 かぐや姫はつぶやきます。「私は生きるために生まれてきたのに!・・鳥や、けものや、虫たちのように・・・!」。 かぐや姫は童歌の隠された続きを歌います。
  ♪鳥 虫 けもの 草 木 花
   人の情けを はぐくみて
   まつとしきかば いまかえりこむ ♪
 そして、この物語の謎、なぜ姫は地球に下ろされたのか、なぜ童歌を知っていたのか、すべての謎が解き明かされるのです。映画を見てない人のために、説明はここまでです。

 高畑監督は、かぐや姫の物語を、一人の人間として、一人の女性として、いかに生きるのか、何のために生きるのか、その成長の物語として描き出しました。愚かで醜い人間、しかし愛すべき人間。自然といのちへの賛歌。高畑監督は、よく知られた「竹取物語」に現代的な意味を込めることに成功しました。この映画、お薦めします。

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コメント

私も「かぐや姫の物語」を見ました。墓石さんはすごく掘り下げて映画を見ておられ、深い洞察力には今更ながら驚いております。最近の日本映画はけっこう面白いモノがたくさんありますね。よい映画を見たらスカッとして元気がもらえます。

投稿: 光石 | 2013年12月24日 (火) 14時09分

光石さん、コメントありがとうございます。

私は、あまり映画を見ていないです。目がものすごく疲れてきます。最近の日本映画は、良い作品が作られるようになった、
というのは同感です。昔は、ヤクザやエログロが多かったように思います。

投稿: 墓石 | 2013年12月24日 (火) 16時48分

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