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2013年4月14日 (日)

日本の国家財政と税制②

 Uさん、前回の続きです。今回は解決編です。
 【アメリカと比較すると?】
 国のあり方をアメリカと比較してみます。アメリカの国民負担率(税金+社会保険料)は、国民所得との比率で34.9%です。日本は、39.0%です。かなり近いです。これに対し、フランス、ドイツなどのヨーロッパ勢は、それぞれ61.2%、52.4%と高いです。しかし、教育費がかからないとか、社会保障の水準は上であると言えます。
 アメリカは、ご存じのように新自由主義的政策を進める国で、競争社会、自己責任の国です。社会保障はヨーロッパに比べると充実していません。しかし、アメリカは所得税を基幹税としていて、消費税はありません。つまり、アメリカは累進課税です。お金持ちが税金をたくさん払っている国なのです。アメリカでは、貧乏人は税金を少ししか払わなくて済みますが、低福祉・自己責任なのです。
 日本はどうでしょうか。小泉政権以後、民主党政権でも、民営化、規制緩和などの新自由主義的な政策が進められています。社会保障が削られ、アメリカのように自己責任社会へと進んでいます。ところが、税制では消費税を基幹税と位置づけ、消費税を増税し、所得税や法人税などの累進課税の割合が減っていっているのです。
 つまり、日本は社会保障を削減し、かつ、貧乏人からも税金を徴収するというとんでもない方向へ進んでいるのです。ヨーロッパとアメリカの悪い部分を取り入れた国になっているのです。こんなひどい方向に日本は向かっているのです。

 【高額所得者ほど低い税率!!】
Zaimus01  日本では、所得税などの累進課税が緩められた結果、所得に占める租税の割合(租税負担率)は、高額所得者ほど低い率となっています。その実態を示す資料を見つけました。財務省の平成23年度の資料、「第5回税と社会保障の一体改革作業チーム資料」の中にありました。この資料では、近年の日本では、課税の累進性が崩れフラット化していることが問題であると指摘されています。左の図は、この資料の中にあったグラフです。(クリックすると拡大して見られます。)
 このグラフから、所得が7000万円あたりから急激に所得税負担率が低下していくのが分かります。逆に、所得に占める株式譲渡所得の割合が急速に増えていきます。日本は、金融所得には分離課税で20%しか税金がかかりません。また、株式に対する優遇税制もあります。高額所得者ほど多くの金融商品を保有しており、その結果、高額所得者ほど所得税負担率が低いのです。
 日本は、課税の累進性が崩れています。この上、消費税を増税すれば、ますます税の累進性は弱まります。

 【解決策は?】
 ここまで説明すると、解決方向は見えてきました。まず、優遇税制を止め、所得税の累進性を強化することです。
  野村総研のホームページに、次のような分析が出ていました。野村総研は、格差社会を問題にしているのではなく、どの階層を狙って商売すれば良いかを分析しているだけなのですが、恐るべき内容です。
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Nomura01   預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命・年金保険などの純金融資産保有額(保有額から負債を差し引いた値)を5つの階層に分類して推計したところ、純金融資産1億円以上5億円未満の「富裕層」および同5億円以上の「超富裕層」の世帯数および保有する純金融資産額は、2011年時点で81.0万世帯、188兆円でした。
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  純金融資産1億円以上の富裕層に対する資産課税の強化も課題です。富裕層の金融資産だけで188兆円もあるのですから、わずかな税率を掛けるだけで、消費税5%分くらいの税収は軽く越えそうです。不動産への課税も課題です。
 分離課税を廃止し所得の総合課税にすることも考えられます。

 かって日本は、政治家とマスコミに「原発安全神話」を信じ込まされました。今、マスコミは、安倍首相の打ち出した経済政策を「アベノミクス」ともてはやしています。「アベノミクス」の第一の矢は、大胆な金融政策です。これは無制限の金融緩和です。第ニの矢は、機動的な財政政策です。これは、何のことはない自民党が過去に進めた大型公共事業のバラマキ政策です。第三の矢は、成長戦略です。しかし、これは財界主導の新自由主義政策、小泉構造改革の焼き直しの構造改革路線です。TPP参加。原発再稼働も含まれています。
 マスコミは(安倍首相も)、「アベノミクス」の第四の矢と第五の矢については、口を閉ざしています。第四の矢とは、社会保障制度改革会議による社会保障切り下げ政策です。第五の矢とは、消費税10%への増税です。「社会保障を切り下げ、自己責任の競争社会を目指しながら、貧乏人からも税金を取る」。日本の進路は、このような方向に舵が切られているのです。しかも憲法改正も現実化しつつあります。

  Uさん。私たちに今すぐできることは少ないですが、今度の参議院選挙で消費税増税を肯定し、憲法改正を目指している政党には投票しないことはできそうですね。

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コメント

墓石さん おはようございます。(*^_^*)

税制がよく解って来た気がします。
夫は凄く政治に興味がありますが、私は必要
最低限です。

東北大震災でマスコミは真実を全て報道して
ないのでは?と疑問が初めて湧きました。それから
不信感を持ちました。何かに踊らされ、真実を
伝えられないのでは?

いつの時代も上の権力者が意のままに働き
ますが、民主主義ですからね。何処へ行った
のでしょう?1割が豊かでしょ。若い人が可哀想
じゃないですか。中間層が増える政治を願たい
ですね。

投稿: 輝子 | 2013年4月18日 (木) 08時20分

輝子さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

私たち一般人は、専門家ではないので、政治や経済のことは
難しいです。基本原理に従って考えて、真実を見つけ出すしかない
と思います。私の基本原理は簡単です。世界有数の経済力があるのに、
なぜ生活が有数でないでないのかです。
危ない原発がなぜ作られたのかもあります。

打撲の方、良くなられたようで良かったです。
ブログで拝見しました。

投稿: 墓石 | 2013年4月18日 (木) 20時07分

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