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2013年4月14日 (日)

日本の国家財政と税制①

 先日、以前に職場の同僚だったUさんと話す機会がありました。Uさんは、「日本の国家財政は借金まみれで、家計にたとえるととっくに破綻している。国民は、福祉も少しくらい我慢して、消費税率も当然上げるべきだ。これからどうなるのか心配だ。」という意味のことを言われていました。時間がなかったので、十分に説明をすることができませんでしたので、今から少し、このことについて解説してみます。

 【国家財政を家計にたとえると?】
 テレビのキャスターなどが、日本の国家財政を家計にたとえて、「400万円しか年収がないのに、毎年500万円の借金を重ね、借金が9000万円に膨らんでいる。こんな家計は破綻している。ギリシャのようになってもおかしくない。」と言うのを何度も聞かされています。本当でしょうか? これは、たとえ方がおかしいのです。もう少し、正確に家計にたとえてみます。
 
*** 架空のJ家があるとします。J家では、夫はサラリーマン、妻は無職で家計一切を切り盛りしています。祖父と祖母も同居です。息子が複数います。貿易商で金を稼いでいたり、農業をやったり、商店を経営していたりしています。妻は、家族から一定の割合でお金を徴収して家計を維持しています。ところが、祖父が病気になり多額の医療費がかかるようになりました。家も新築しました。近所のA商店から、高価な防犯グッズも買わされました。妻はしだいに息子や夫から、借金をするようになりました。ついに、その額は9000万円にもなりました。****

 日本の財政を、正しく家計に例えると以上のようになります。このような家庭を外部の人が見て、借金まみれで崩壊寸前とは誰も言わないですね。妻が借金を返済するといっても、外部のサラ金に返済するわけではありません。家族に環流されるだけです。
 日本の国債は、多くは日本国内で所有されています。だから、このようなたとえ話が成立します。ギリシャは、外国に国債を売っています。つまりサラ金から借金をしている家計です。だから崩壊寸前の家計なのです。
 日本は異常事態であるとはいえ、ギリシャに比べまだ少し時間的余裕があります。この余裕の間に、どのように国の進路を決めていくのかが問題なのです。政治家やマスコミが、財政の危機をあおり国民を思考停止状態に追い込み、社会保障の切り下げと消費税増税へと駆り立てています。今こそ冷静に今後を考える必要があります。

 【税金の種類とその特徴は?】
 国は、税金と国債により資金を調達しています。国の財政が赤字であれば、増税することが必要です。そこで、どの税を増税したらよいかということが問題となります。そのため、税金の特徴をしっかり理解することが必要です。
 税金は、大きく分けて、所得税、法人税などの直接税と消費税などの間接税があります。
 所得税、法人税などの直接税は、収入に応じて支払う税です。たくさん収入のある人が高い率で税金を払います。つまり累進課税です。福祉国家を目指した先進諸国は、累進所得税を最も公平な基幹税としてきました。日本も戦後、シャウプ勧告をうけて所得税・法人税を基幹税として税制を確立しました。
 これに対して、消費税などの間接税は、流通過程から税を取ろうとする仕組みです。ある商品を貧乏な人が買おうが、金持ちが買おうが税額は同じです。つまり、間接税は所得の累進性を反映させることはできないのです。多く所得のある人は、消費をせずに貯金をしたり金融商品にまわすことができます。そのため、所得全体に占める消費税の割合は小さくなります。例えば、今、消費税が10%だとすると、所得が低くて貯金する余裕のない人は、所得に占める消費税額は10%です。しかし、所得が1億円の人が、5000万円で生活し、残りを貯金したとすれば、全所得に対して消費税額の占める割合はは、半分の5%ということになります。
 以上のように、所得税は累進課税、消費税は逆累進課税という特徴をしっかり押さえることが必要です。

 【日本の税制はどこに向かっているか?】
 日本の税制は、どこに向かって進んでいるのでしょうか? 多くの国民は、消費税を増税すれば、その税金は社会保障に使われると、何となく信じこまされています。では、今までの5%消費税は、どこに使われたのでしょうか? 国税収入の一覧を見れば一目瞭然に理解できます。国税収入は、国税庁のホームページで直ぐに確認できます。
 消費税が3%だった1996年(平成8年)と2010年(平成22年)の国税収入の内訳を全税収に対する割合でみてみましょう。

      1996年(平成8年) →  2010年(平成22年)
所得税         36.5%     →       31.3%          -5.2%
法人税          27.8%     →       21.6%         -6.2%
消費税          11.6%     →       24.4%        +12.8%

 消費税の占める割合が増えた分、法人税や所得税の割合が減っています。この間、所得税と法人税は減税され続けていました。つまり何のことはない、消費税は、所得税や法人税の減税分と置き換わったにすぎないのです。所得税は累進課税です。消費税は逆累進課税です。つまり、金持ちを減税して、貧乏人に課税を増やしていることになります。これでは、格差社会が進むのは当然です。国民が知らない間に、こんなことが進んでいるのです。
  
 Uさん、記事が少し長くなりました。この続きの解決編は次回にします。

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