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2013年1月 3日 (木)

集団的自衛権をめぐって

 昨年末、最期の勤務校の卒業生、S君と再び話す機会がありました。彼は、今回の総選挙で自民党に投票したと言っていました。中国や北朝鮮の脅威から国を守るためには、軍隊は必要であり、それが普通の国の姿であると言っていました。集団的自衛権を行使して、アメリカと協力し合うことは大切だとも言っていました。
 どうもS君のために、私は戦争や平和憲法についての一文を、再び書かねばならないようです。読んでもらえるかどうか分かりませんが・・・。

 【帝国主義の時代の戦争】
 他国を侵略し、植民地を拡大したり、併合したりする帝国主義の時代には、帝国主義国同士が、国を挙げて総力戦で激突しました。二つの世界大戦では、莫大な犠牲者が出て、世界の経済も大きな打撃を受けました。
 しかし、この大戦を通して、植民地だった国々では民族運動が高まり、次々と独立を果たし、植民地は姿を消しました。また、侵略戦争は違法とする平和勢力が、世界で力を持つようになりなりました。兵士や民間人の命の犠牲に対する意識も高まりました。
  その結果、植民地を奪い合い、大国と大国が総力戦で戦う戦争は、歴史から姿を消しました。他国を一方的に侵略し、武力で支配するというやり方は、国際化した経済の中では、国際社会から孤立し、経済発展が見込めないばかりか自国の経済も危機に陥ります。また、自国民を戦争に駆り立てることも容易なことではありません。
 つまり現在は、かってのような帝国主義戦争を想定して、どこかの国が一方的に侵略してくるかも知れないなどと心配する時代ではないのです。平和憲法を掲げて、平和のために国際政治をリードする、それが可能な状況が生まれてきているのです。

 【現代の戦争とアメリカ】
 では、現代の戦争はどのようなものなのでしょうか?  スウェーデンにあるウプサラ大学の平和・紛争研究所が、世界の戦争・紛争について報告しています。現在、世界で30ほどの戦争・紛争がありますが、これらはすべて内戦・地域紛争です。かってのような国と国が総力戦で戦う帝国主義戦争ではありません。
 現代の戦争の特徴は、テロや地域覇権国家の侵略、地域紛争などをきっかけに大国が介入して展開するという形をとっていることです。この大国とは、アメリカである場合がしばしばです。アメリカは、グローバル市場秩序の維持と安定、拡大のために紛争に介入していくのです。例えば、大量破壊兵器の所有を口実に行われたイラク攻撃では、中東の石油地帯の安定が、アメリカのグローバル企業にとっての重大課題だったのです。
 アメリカの経済は、軍事産業の割合が高くなっています。世界の武器輸出の6割は、アメリカです。世界へ自国に有利なグローバルスタンダードを押しつけるため、そして、軍需産業の利益確保のため、アメリカは好戦国家になっているのです。

 【集団的自衛権とは】
 集団的自衛権の行使とは、平たく言えば軍事同盟を結ぶことです。好戦国家アメリがが戦争を始めれば、同盟国である日本も参戦しなければなりません。イラク戦争を思い出してください。ドイツやフランスの反対にもかかわらず、大量破壊兵器の所有を口実に、アメリカ・イギリスなどは戦争を始めました。日本も小泉首相の下、自衛隊を非戦闘地域と称する場所に派遣しました。もし、集団自衛権の行使が認められていたなら、戦闘にも参加することになったはずです。そうなれば当然、死者も出ていたことでしょう。日本が戦争に参加する危険は、すぐ近くまで迫っているのです。
 まじめな多くの日本国民は、集団的自衛権の行使で、日本国が防衛できるかどうかを悩んでいると思います。しかし、日本の集団的自衛権行使を一番主張しているのはアメリカなのです。アメリカは、アフガンやイラクで莫大な戦費を使い、国家財政の危機に立たされています。軍事費の削減は緊急課題です。削減の結果、世界戦略の穴の空いた部分を日本に肩代わりさせようというわけです。
 日本は、毎年「思いやり予算」として、アメリカ軍のために莫大な税金(2000億円)を消費しています。海兵隊のグァム移転費用として支払う金額(60億ドル)も莫大です。こんな従属的国家は、世界に例が無いということもこの際考えてみる必要があります。(怒りを持って!)

 【進む有事法制】
 有事法制の整備も進んでいます。1999年には、「周辺事態法」が成立しました。2003年には、有事法制関連三法、2004年には、有事関連七法が成立しました。これらの法律により、「有事」(事後承認可)を宣言して、自衛隊の作戦行動やアメリカ軍の後方支援を円滑に行うため、地方自治体や個人に協力を強制できる体制もほぼ整いました。あと、罰則規定が入れば完成です。これにより、有事に戦争に協力しない国民は、犯罪者となるわけです。有事関連法が成立したのは、国民が小泉劇場に浮かれている間のことでした。小泉政権は、新自由主義的政策を進め国民生活を危機に陥れたばかりでなく、有事法制推進の立役者でもあったのです。マスコミも、成立に大きな役割を果たしました。
 集団自衛権行使の容認は、現憲法下での最期の総仕上げです。次は、いよいよ憲法改正へと進んでいくことになります。「憲法を改正して国防軍を!」と叫ぶ、とんでもないタカ派内閣も誕生しました。マスコミも中国や北朝鮮の危険を煽り立てています。今ここで、冷静な判断が必要です。
 最後に、ナチスドイツで戦争遂行にあたたった人物の一人、ゲーリングが、ニュルンベルク裁判で語った言葉を聞きましょう。
  「・・・・(国民を動員するのは簡単なことです。)・・・・ われわれは攻撃されかかっているのだと煽り、平和主義者に対しては、愛国心が欠けていると非難すればよいのです。このやりかたはどんな国でも有効です。・・・・・」

 S君。いろいろ言い足りないことが山ほどありますが、今回はここまでです。

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コメント

墓石さん 昨日の寒さには怖れ入りました。この
冬は湖北と思ってたけど耐えられないと思います。
近場でチョイがいいかも。

政治の事はよく解らないけど、今回の政府には
何処へ向くのか?怖い気がします。マスコミも
行き過ぎですね。あの大震災の復興でも遅い!と
喧々囂々。阪神大震災でも大変だったのに、広範囲
の更に酷い災害と原発事故。どうして早く出来るの?
と言いたかったですね。何か裏で働きがあるのでは?
と思ってました。

今の戦争は昔と違うのはよく解りました。9条を改正
して、戦争へと駆り立てるのでしょうね。いつかこう
なると思ってました。民主主義も自由も失われる
可能性が多いです。それも墓石さんの文で解った
気がします。有難うございます。

投稿: 輝子 | 2013年1月 5日 (土) 14時06分

輝子さん、こんばんわ。
私のつたない一文を読んでいただいてありがとうございます。
卒業生など若い人と喋ると、平和のこととかあまり考えていない
ので、いらつくことがあります。危ない時代だと思います。

湖北ですか。雪が積もっているんでしょうね。
私は、今日の朝、霜が降りると予想して早起きの準備をして、
6時に起きてみると、霜は全く降りてなかったです。
すぐに、また寝ました。予想が外れました。
高気圧が来て、晴れて風もなく、必ず霜が降りると予想していましたが、
曇って冷え込みもなかったです。
次の機会を待ちます。

投稿: 墓石 | 2013年1月 5日 (土) 20時41分

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