« 定期診察の日(45) | トップページ | 地方分権改革と道州制 »

2012年3月25日 (日)

新自由主義とは

 卒業生のS君と話をする機会がありました。S君は、昨年から選挙権を得て今年で一年です。まだ投票に行ったことは無いそうです。今度の選挙では、橋下維新の会に投票すると言っていました。話をよく聞いてみると、政治や社会についてほとんど基礎知識が無いという感じでした。そこで、S君のために、政治に対する私の考えをまとめてみようという気になりました。読んでもらえるかどうか分かりませんが・・・・。カテゴリー「政治・経済」としてまとめます。

 『新自由主義を理解すること』
 今の時代、新自由主義に対する理解無しには政治を語ることは出来ません。
 かっては、財界、自民党、霞ヶ関官僚が癒着して日本を支配してきました。これを「古い自民党的体制」と名付けるとします。この「古い自民党的体制」に対して、社会党や共産党を軸とする「革新勢力」が対抗していました。つまり、二極の対立でした。
 しかし、現在の財界は、もはやかっての「古い自民党的体制」の側ではなく、新自由主義的政策を掲げています。つまり現在の政治は、「古い自民党的勢力」、「新自由主義勢力」、「革新的勢力」の三極の対立となっているのです。
 このことが理解できていないと、しばしば間違った選択をしてしまいます。かって、小泉首相は、「古い自民党的体制」を激しく攻撃し、多くの国民はこれを「革新的」と熱狂的に支持しました。しかし、彼が進めていた政策、「規制緩和」、「三位一体地方分権改革」、「民間活力の導入」、「霞ヶ関官僚組織改革」などこそ、財界が推し進める新自由主義的な政策だったのです。新自由主義は、「古い自民党的体制」を批判しているため、しばしば「革新的政策」と見誤ってしまうのです。
 菅政権とそれに続く野田政権に幻想を抱いている人も多いと思います。しかし、現在進められている多くの政策は、財界お薦めの新自由主義的政策です。「TPP参加」、「消費増税」、「法人税減税」、「社会保障制度改正」などです。社会保障改革については重要なので、次の機会にまわします。

 『新自由主義の登場』
 新自由主義登場の歴史を超ざっくりと見てみます。
  18、19世紀に、資本主義はきわめて非人間的な体制として歴史に登場しました。企業は、利潤を追求しなければ競争に負けてしまいます。あくなき利潤の追求競争が始まったのです。そのため、子供までも低賃金で働かせたり、18時間労働という長時間労働も強要しました。その後も資本主義は、恐慌や戦争といった暴走を繰り返してきました。
 利潤を求めて暴走する資本主義に対して、社会運動や労働運動が高まり、8時間労働制、女性の深夜労働禁止など、様々な「規制」が作られていきました。教育制度、福祉制度なども整えられてきました。イギリスでは、「揺りかごから墓場まで」といわれるような福祉社会が実現しました。
 しかし、社会保障のためのコストが大きくなれば、資本が生み出す利潤は減少します。一方では、低賃金、低コストで利潤を上げられる新興国が、世界市場で次第にを力持ってきます。その結果、イギリスは世界市場で競争力を失い、いわゆる「イギリス病」といわれる状態に陥りました。この状態を打ち破るため、サッチャー政権が新自由主義政策を採用しました。アメリカでは、レーガン政権によりこの政策が始まりました。
 新自由主義は、低賃金、低福祉を宿命的に背負い誕生したのです。新自由主義は、自国民の低賃金、低福祉により、グローバル競争を勝ち抜こうとする多国籍企業の利益を擁護する中心的政策となったのです。
 
 『新自由主義の政策』
 では、新自由主義政策では、どのように低福祉、低賃金を実現するのでしょうか。
 新自由主義の政策の基本は、「小さな政府」です。今まで、国家や自治体が、累進課税で税金を徴収し、責任を持って進めてきた医療、教育、福祉などの公共サービスを「民営化」し、「市場競争」の中に投げ込むのです。資本の側にとっては、低福祉(低コスト)の上に、公共サービスだった分野からも利潤を得ることが出来るのです。「民間活力の導入」という美しい言い方の政策です。「公務員削減」政策でもあります。小泉後継を自認する「みんなの党」は、この前の選挙で10万人の公務員削減を言っていました。大阪の橋下市長は、現業職員4割削減と発言しています。
 また、新自由主義の政策は、資本の活動を制約してきた規制を撤廃することです。「規制緩和」といいます。小泉政権の下で、金融ビッグバンと呼ばれる金融の規制緩和が行われました。その結果、年金を食い物にしたAIJ投資顧問会社のようなインチキ会社までもが、活動の場を広げました。また、派遣法の改正により、安い労働力が資本の下に提供されたのもよく知られています。
 日本の新自由主義的政策は、経団連のホームページで確認することが出来ます。さらなる「規制撤廃」、「消費税増税」、「法人税減税」、「道州制」、・・・・などです。
 新自由主義の登場により、資本の暴走は加速され、格差社会は広がる一方です。

|

« 定期診察の日(45) | トップページ | 地方分権改革と道州制 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/522242/54303164

この記事へのトラックバック一覧です: 新自由主義とは:

« 定期診察の日(45) | トップページ | 地方分権改革と道州制 »