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2011年11月25日 (金)

新自由主義か新福祉国家か

 久々のお薦めの本です。
 「新自由主義か新福祉国家か」~民主党政権下の日本の行方~(旬報社)を読みました。この本、4名の論文を集めたものになっていますので、ここでは、「第一章:政権交代と民主党政権の行方」(一橋大教授渡辺治氏担当)の、さらにその一部分だけを紹介させていただきます。
 
 渡辺治氏のこの論文が優れているのは、現在の政治を捉える基本的視点が明確に示されているということです。
 小泉改革に多くの国民はだまされました。労働者派遣法の改正などの構造改革政策、つまり新自由主義的政策により出現したのは、ご存じのように格差社会、医療崩壊などでした。そして、それに続く、民主党による政権交代でも、再び多くの国民は騙されました。マニフェストは破棄され、法人税値下げ、消費税の値上げ、派遣法の実質維持、原発政策の継続・輸出、TTP参加。まさに、経団連の成長戦略に書かれている内容がそのまま政策化されています。なぜ、多くの国民は、このように騙され続けるのでしょうか。
 渡辺論文は、これらの疑問に実に明快に答えてくれます。その核心部分を、私が、独断で超・超・超要約してみます。的はずれになっているかも知れませんが・・・・。

 日本では、革新勢力対保守勢力という二大勢力の対立として、政治が捉えられていた時代が長く続きました。保守勢力とは、自民党、官僚組織、財界の癒着体のようなものでした。様々な政策を判断するとき、この二大勢力のどちらの政策であるかを判断することで多くは理解できました。しかし、現在は違うのです。
 日本の大企業上位100社は、多国籍企業として世界展開をしています。もはや、かっての財界とは質的変化を遂げているのです。その基本政策は、「市場原理主義」、「小さな政府」、「民営化」なとによって特徴づけられる新自由主義と呼ばれるものなのです。新自由主義とは、結局、低賃金、低福祉によりグローバル競争に打ち勝とうという政策です。新自由主義にとって、古い自民党的体質・利権にまみれた官僚組織は、能率が悪く、もはや不要なものなのです。小泉首相が「自民党をぶっつぶす」と言ったことからも分かります。
 つまり、現在は、三大政治勢力がせめぎ合う時代となっているのです。財界を中心とする新自由主義勢力。古い自民党と官僚支配を中心とする旧保守勢力。福祉国家を掲げる革新勢力。現在は二極対立ではなく、三極の対立となっているのです。
 三極の対立軸があることが理解できないことにより、さまざまな錯誤が発生するのです。「自民党をぶっつぶす」、「霞ヶ関の官僚支配打破」というスローガンに、多くの国民は拍手を送りました。しかし、それは、旧保守勢力に対峙する新自由主義のスローガンでもあるのです。多くの国民は、この新自由主義のスローガンを革新的スローガンだと錯誤してしまったのです。
 「霞ヶ関官僚支配に反対する」、「地方分権を確立する」、これらのスローガンも錯誤を生み出しています。これらは、かっての革新勢力のスローガンに似ています。しかし、これは新自由主義のスローガンでもあるのです。スローガンは似ていても、中身は正反対のものなのです。大阪府の橋下知事が掲げる「大阪都構想」、「近畿州」などは、財界・新自由主義が進める地方分権改革「道州制」の先取りであることは、理解されているのでしょうか?  旧保守勢力を批判しているつもりが、いつのまにか、新自由主義に取り込まれてしまう構図になっているのです。
 「規制緩和」、「公務員削減」、「民間活力の導入」、こういった政策を革新的と錯誤している人は多いのではないかでしょうか。新自由主義的政策について理解できなければ、今の政治は語れない時代なのです。・・・・

 ウーン。他人の著作を要約するなどというのは、失礼でもあり、難しいですね。民主党は、どのような政党なのか?小沢派と反小沢派が対立しているのは何故なのか? これもよく理解できます。こっちの方が面白いかもです。 一度読まれることをお薦めします。 では。また。

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コメント

墓石さん こんにちは。(*^_^*)

このアンポン頭では難しくて解り兼ねますが、小泉
政治には国民も惑わされましたね。あのパホーマンス
と人気に。結局大企業優先で格差社会を生みました。
いつの時代も能力のある人が勝ち取って行きますが、
仕方ないというものの、、、

自民党が良かったのは角栄までだったでしょうか。
長く一党が続き過ぎですよ。悪政には腹立たしい
ですね。さて民主は?完全はどの政党も期待は出来
ないですが。新自由主義というのですか。大阪維新
がねぇ。

この日本丸どうなるのでしょう?

投稿: T | 2011年11月27日 (日) 15時47分

Tさん、こんにちは。

政治のことは、良く分からないというのが本当のところです。難しいです。
ただ、マスコミに踊らされたくない、という気持ちはあります。
原発を危険だと、以前から主張していた局は無いのですから。
これからも考え続けていくしか仕方がないような・・。

投稿: 墓石 | 2011年11月27日 (日) 20時26分

墓石さんおはようございます(^^)

大阪の市長と知事のダブル選挙が終りました。市民・府民は知事選とも維新の会を選択したようです。大阪都構想を掲げていますが、何をするのも人間ですから不正が出来ないようなシステムを構築してもらいたいものですよ。

また、小泉氏・竹中氏からエスカレートした市場原理主義は弱者の犠牲が多すぎますよね。失速した日本経済を立て直すのに安い労働を求め過ぎた結果の現実が出ています。社会保障も崩れていますし、労働人口の減少・自殺者数の増大が続き・国内空洞化・自民政権でツケを残した財政難でオマケに原発事故の国民負担と先に考えられる福祉や医療の切り崩し。日本は大変な難所に居るとおもいます。せめて日本の海に眠っているメタンハイドレートが実用できたらエネルギー大国になる可能性があるのではと薄い期待はしているのですが。

マスコミは読売・産経を筆頭に財界に寄り添っていますから国民目線の報道は政党新聞かミニコミぐらいでしょうか。個人の嗅覚の方が大切かも(笑)

橋下氏は原発にはっきり反対した政治家のひとりで関西電力にも鋭く切り込みました。いまはイデオロギーより脱原発が日本の未来にとって大切だと思っています。

人の考え方は様々で拘る視点もちがうし政治を論じるのは難しいですよね。

勝手なコメントでごめんなさいね。m(__)m

投稿: 徒然草 | 2011年11月28日 (月) 07時07分

徒然草さん、おはようございます。
コメントありがとうございます。

「日本は、大変な難所に居る。」まったく同感です。
「脱原発」、これも絶対的に重要です。現在の原発政策は、
旧保守勢力と財界の合作のようなものだと思います。早くに脱出の
必要があると思います。これも同感ですね。
脱原発に新自由主義的手法が入ることは、これからの問題ですね。
政治は難しいです。 では。

投稿: 墓石 | 2011年11月28日 (月) 11時06分

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