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2010年4月 5日 (月)

堤未果著「ルポ貧困大国アメリカ」

 堤未果著「ルポ貧困大国アメリカ」(岩波新書)を読みました。
 日本では、小泉内閣の元で新自由主義的経済政策が進められ、「構造改革」「市場経済」「グローバルスタンダード」「官から民へ」「自己責任」といった言葉が、マスコミに溢れていました。その結果もたらされたのは、「派遣切り」「ネットカフェ難民」「医療崩壊」「地方の衰退」などです。しかし、この本では、、新自由主義の先輩であるアメリカの、遙かにすさまじい状況が報告されています。この本は、大変お薦めです。
 著者の言葉です。『・・・・そこに浮かび上がってくるのは、国境、人種、宗教、性別、年齢などあらゆるカテゴリーを超えて世界を二極化している格差構造と、それをむしろ糧として回り続けるマーケットの存在、・・・・恐ろしい暴走型市場原理システムだ。そこでは「弱者」が食いものにされ、人間らしく生きるための生存権を奪われた挙げ句、使い捨てにされていく。・・・・「教育」「いのち」「暮らし」という、国が国民に責任を負うべき政府の主要業務が「民営化」され、市場の論理で回されるようになった時、果たしてそれは「国家」と呼べるのか?・・・・単にアメリカという国の格差・貧困問題を超えた、日本にとって決して他人事ではないこの流れが、いま海の向こうから警鐘を鳴らしている。・・・・・』

 本書の内容です。第1章「貧困が生み出す肥満国民」。新自由主義による経済政策の結果、アメリカの中流家庭は貧困層に転落し、格差が急激に広がったことが、まず述べられます。福祉や学校給食等が、ファーストフード産業のビジネスの対象にされ、そこではコスト削減のため、いわゆるジャンクフードが提供されます。カロリーは高いが栄養価は乏しく、その結果として貧困層に肥満が増加していることが報告されます。

第2章は「民営化による国内難民と自由化による経済難民」。民営化と自由化が職場を奪い、収入の手段を失った人々が、経済難民化していく姿が描かれます。ハリケーン・カトリーナの災害は、民営化によって被害が拡大したことが明かされます。非常事態宣言を発すべき連邦機関は実質的に民営化され、「主要任務はいかに災害の被害を縮小し多くの人命を救うかということから、いかに災害対策業務をライバル業者よりも安く行うことができるかを証明するということに代わった」と、専門家は証言します。

 第3章は、「一度の病気で貧困層に転落する人々」。新自由主義の流れが強まり、公的医療費は削減され、医療さえもが利潤の対象とされ、「市場原理」にまかされます。医療費は高騰し、無保険の人は、一度病気になれば貧困層へと転落していきます。恐るべき医療崩壊の実態が報告されます。

 第4章は、「出口をふさがれる若者たち」。学資ローンは民営化され、ローンの返済に行き詰まる大学生たち。これらの貧困層の若者たちが兵士としてリクルートされていく現実が報告されています。

 第5章「世界中のワーキングプアが支える民営化された戦争」。著者は言います。「グローバル市場において最も効率よく利益を生み出すものの一つに弱者を食いものにする貧困ビジネスがあるが、その国家レベルのものが戦争だ。」戦争さえもが民営化され、利潤の対象とされている実態が明らかにされます、アメリカ軍の後方支援は、ハリバートン社などの2つの会社によって支えられている実態には驚きます。   
 この本お薦めします。 では。また。

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