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2010年2月16日 (火)

橘木俊詔著「格差社会」を読む

 橘木俊詔著「格差社会・何が問題なのか」(岩波新書)を読みましたので紹介します。

 橘木氏は、同志社大学経済学部教授で、1998年に「日本の経済格差」(岩波新書)という本を書かれました。戦後長く「平等社会」だと信じられてきた日本において、経済格差が広がりつつあることを、様々な統計データによって検証しました。この著作が、「格差論争」に火をつけることになりました。その後、阪大教授の大竹文夫氏などから反論が出され(大竹文夫著『日本の不平等』)、 2006年には内閣府が、格差の拡大は日本が高齢化していることによる「見かけ上の問題」とする見解を発表しました。また、その当時の小泉首相の、「格差は悪いことではない。」「能力のあるものの足を引っ張る風潮では社会は発展しない。」という発言も続きました。こうした状況の中で、この本「格差社会・何が問題なのか」は、書かれました。

 まず、第1章では、格差の現状が検証されます。OECD調査で、日本は、アメリカやイギリスと共に、最もジニ係数の高い国になっていて、また、相対的貧困率でも、先進国中第3位になっていることが述べられています。
 第2章では、格差を広げる要因が説明されています。①長期不況と失業者の増大 ②雇用に広がる格差、非正規労働の拡大 ③所得分配システムの変容、税の累進度の緩和など ④「構造改革」問題点 などが指摘されています。
 第3章では、格差が拡大する中で、日本社会に起こっている具体的な実態、拡大していく貧困層の深刻さなどが述べられています。
 第4章では、格差が進行することの危険性が述べられています。
 第5章で、格差社会を解消するための処方箋が示されます。税の累進度を50%に上げる等、いくつかの方策が示されています。条件付きで、消費税15%が提案されています。しかし、これはどうも支持できません。GDPが1.4倍に増えているのに法人税は減税され、5%の消費税分が、法人3税の減税分に匹敵するというような状況では、他に手をつける政策は、一杯ありそうです。膨大な防衛費とかも。

  橘木氏の「格差社会」。格差が拡大し、しかも貧困層が拡大しているという結論、実に明快です。 お薦めします。 では。また。

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