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2009年10月17日 (土)

映画「私は貝になりたい」をみる

 先日、中居正広主演、映画「私は貝になりたい」を見ました。妻がレンタルのDVDを借りてきて、誘われたので、渋々最後まで見てしまいました。結論から先に言うと、この映画は、あまりお薦めではありません。

   当時、巣鴨プリズンの中では、日本が行った戦争犯罪に正面から向き合い、戦犯裁判を批判しつつも、日本の侵略戦争と残虐行為の真の責任者を追求し、二度と戦争はしないという壮絶な思想的営みが行われていました。そうした中で、「壁あつき部屋ー巣鴨BC級戦犯の人生記」」、「あれから七年」などの手記集が編集されました。
 「私は貝になりたい」という言葉は、B・C級戦犯として死刑判決を受け、巣鴨プリズンに投獄されていた加藤哲太郎氏が、戦争手記集「あれから七年」に投稿した「狂える戦犯死刑囚」の中に、赤木曹長の遺書として出てくる言葉です。この加藤氏の一連の手記などを原案にして、この映画は作られました。
  
   しかし、映画では、捕虜となった米軍機の搭乗員を処刑するよう命令を受けた二等兵が、臆病でためらいながら、ただ傷つけただけなのに死刑にされたという筋書き。「罪もない二等兵が戦争と戦犯裁判の犠牲となり~・・・・。」という同情を買う筋書に書き換えられています。ストーリー全体としても、夫を献身的に支える妻の愛情物語となっています。これでは、「巣鴨プリズンでの思想的営み」「侵略戦争への反省」が弱すぎます。この映画に対する「戦犯裁判について、ステロタイプ化されたイメージを作るのに利用された」という批判も、当然のことだと思われます。この映画、お薦めできません。

  なお、加藤哲太郎著「私は貝になりたい」は、春秋社から出ています。加藤氏の「侵略戦争により戦犯が生み出された。戦争だから戦争の要求に従って行動したという自己弁護は成り立たない。」という言葉は強烈です。一人一人が自立した市民となることが、戦争への反省である、というメッセージとして受け取れます。憲法9条の改定が公然と叫ばれる今、もう一度、加藤氏の言葉に耳を傾けることは意味のあることだと思います。では。

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コメント

全く同感です。私は妻と一緒に1年ほど前に京都弥生会館で見ました。フランキー堺の同名の映画を何十年も前に見た記憶からリメイク版と思い足を踏み入れましたが、期待を裏切られました。津川雅彦演じる「大佐」?と侵略戦争へと指導した東条英機とが重なってしまいました。

投稿: 秋田 徹 | 2009年10月18日 (日) 06時53分

 秋田さん、書き込みありがとうございます。
同じ感想を持ったとは、大変うれしいです。
日本を「ふつうの國に!」という動きも、ますます強まっているように思います。何とかしないと。

投稿: 墓石 | 2009年10月18日 (日) 20時55分

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